二十四節気と七十二候  小雪 二十四節気 小雪 七十二候 小雪

二十四節気 小雪

二十四節気  小雪
小雪(しょうせつ)  (十月中)
11月22日~12月6日

冷ゆるがゆえに 雨も雪となりてくだるがゆへ也(こよみ便覧)

空気も冷えてきて、小雪がちらちらと降り出す頃。山間部では初雪が降るところも。紅葉や銀杏がきれいに色づいている関東では、11月11日に昨年より一週間早い「木枯らし一号」が吹きました。この同じ日に東北や長野の山間部では初雪が降ったようです。二十四節気も小雪を迎え、これから気象図も西高東低の冬型の気圧配置が多くみられるように。
街には、クリスマス用のイルミネーションも点灯しはじめ、華やかな雰囲気に。いよいよ年の瀬も押し迫ってくる頃。


新嘗祭
新嘗祭(にいなめさい)は宮中祭祀のひとつとして、太陽暦採用以前は旧暦の11月の2回目の卯の日に行われていました。新嘗祭は飛鳥時代、皇極天皇から始められたと伝えられる国家行事で、天皇がその年に収穫された五穀の新穀に感謝し、新米や新酒を神に捧げ自らも口にするという大切な祭祀のひとつです。
10月17日に行われる神嘗祭(かんなめさい)は収穫に感謝をするという意味合いが強く、ひと月ほど遅れて行われる新嘗祭は、天神地祇(ちぎ)に供えるとともに、天皇自らも「新米を食する」ところが神嘗祭との違い。

勤労感謝の日(11月23日)
戦後、新嘗祭が改められて「勤労感謝の日」となりました。1873年の改暦の際、旧暦に合わせて行われていた新嘗祭が、新暦だと1月になってしまうことから、新暦11月の2回目の卯の日にすることになったのですが、たまたま1873年のその日が11月23日だったことから、以後固定して23日を新嘗祭としたそうです。戦後になり、天皇行事と新嘗は切り離されて、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」ことを趣旨として国民の祝日に。新嘗祭の名残りとして一年の慰労(勤労感謝)の意味もあるようです。


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七十二候 小雪初候 虹蔵不見

七十二候 第五十八候 虹蔵不見
11月22日~26日

「にじかくれてみえず」と読ませます。
小雪、大雪、冬至と日照時間もだんだんと減少していきます。「虹蔵不見」が七十二候小雪の初候になったのも、日の光も穏やかになり、虹が出るほどの陽の強さもなくなり虹も出なくなってくる頃だからとも、雨が雪に変わって降るようになるからとも言われています。しかし、冬には全く虹が出ないわけではなく、日差しと空の水滴の角度が合いさえすれば冬でも虹が現れることも。


虹は虫偏に「工」のついた文字です。「工」は虹のかたちのように、半円形のアーチ状の反りのあるものを示しています。例えば、「工」にサンズイが付く「江」は、緩やかに湾曲するように流れる長江(揚子江)を指すと言われています。大地を滔々と流れる江と、大空をアーチ状に跨ぐ虹と、どちらも雄大さと神々しさを実感しないではいられません。

虹霓(こうげい)
古えの中国では、虹は竜の化身とされていました。虹には雄と雌があり、色が濃いものが雄、薄いものは雌としていました。虹霓(こうげい)といい、雄=虹、雌=霓と、本来は異なる漢字で書かれます。
虹の雄雌とは、主虹と副虹の二重の虹を指していて、それぞれを雄、雌としたようです。虹を見つけた時に、運が良ければ外側にも薄い虹が見られることがありますが、それが副虹です。


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七十二候 小雪次候 朔風払葉

七十二候 第五十九候  朔風払葉
11月27日~12月1日

「さくふうはをはらふ 」と読ませます。
七十二候小雪次候は朔風葉を払う、です。北風が木の葉を払う頃。朔は北の方角の意で、朔風は北風のことです。冷たい木枯らしに、頼りなく枝についた木の葉も払われてしまいます。

木枯らし一号
主に太平洋側地域において、10月半ばから11月にかけて初めて吹く、北もしくは西北西の風で、最大風速毎秒約8メートル以上になるものを「木枯らし一号」と呼びます。この時の天気図は西高東低の冬型の気圧配置。因みに、木枯らし一号は関東と近畿でのみ宣言されるのだそう。

小春日和(こはるびより)
晩秋から初冬にかけての、移動性高気圧による春のような天気を小春日和といいます。
小春とは太陰暦の十月を指し、新暦ですと11月あたりになります。ですから、小春日和は初冬の季語になります。初春に小春日和を使うのは間違いなのですね。

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七十二候 小雪末候 橘始黄

七十二候 第六十候  橘始黄なり
12月2日~6日

「たちばなはじめてきなり 」と読ませます。
七十二候小雪末候は橘始めて黄なり、です。橘(たちばな)が黄ばみはじめる頃。
橘とは蜜柑科の常緑樹です。昔から日本では橘を神聖な木としてきました。また、常緑樹で冬の寒さの中でも枯れないところから、永遠を現わす象徴的な植物とされたようです。

非時香木実(ときじくのかぐのこのみ)
日本書記には、垂仁天皇が田道間守を常世の国に遣わし、非時香木実(ときじくのかぐのこのみ)という不老不死の妖力を持つ霊薬を持ち帰らせるという話が載っています。ではなぜこの非時香木実が橘(タチバナ)になったのでしょう。一説によると「タチバナ」は「タジマバナ(田道間花)」の読みからきているとも言われています。また、古事記には「是今橘也(これ、今は橘なり)」と書かれてることからとも。
常世からもたらされた果実である橘(タチバナ)は、長寿や福を招く縁起物として大切にされてきました。当時「菓」とは果物のことをさしていましたが、橘をもたらした田道間守は、いつしか菓祖神「お菓子の神様」として奉られるようになります。

小雪の候、あちらこちらの庭に柚子や蜜柑が黄色や橙に色づいて木になっているのを見かけます。ビタミンCがたっぷりの柑橘系の果実は風邪の予防に効果的だと言われていますから、冬の常備薬の代わりとして、家々の庭に植えられたのかもしれません。風水でも、黄色い木の実が付いた植物は子宝に恵まれるとされ植木として喜ばれたそう。



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