「一切の毛孔より無量無数色の光りを放つ」
妙法蓮華経如来神力品第二十一の一節です。
今回は、十種類の神通力の二番目、「毛孔放光(もうくほうこう)」についてご紹介をいたします。
真実の教えである証明として広長舌を出だされた後、仏さまは一切の毛孔より無量で無数色の光を放たれました。
この光は、あまねく十方世界を照らし出すほどのすばらしい光明でありました。
仏さまの身から放たれた光がまわり中をみな照らし出したこの光景は、仏さまのご真意である法華経全体を通じて、そこに明らかにされる道理は一つであるということを示されているのです。
「嘘も方便」という言葉がありますが、方便とは決して嘘ではありません。
ただ浅いだけなのです。
仏さまがどんな浅い教えを説いても、一切衆生が仏に成るという大目的に到達するために説かれたものであり、役に立たないことは一つもありません。
どんな浅い教えでも、みな真実の教えに通じているのです。
私たちの頭上に昇りくる太陽は雲に隠れようとも常に地球全体を照らし出すように、私たちは仏さまが放たれたその慈しみの光に常に照らされていることを気づかねばならないのです。
外観をいくら荘厳に飾ったとしても心の内から出る輝きには勝ることはないように、私たち一人ひとりがこの世で与えられた使命に向かって正しく歩むとき心の内から仏さまと同様の輝きが表れてくるのです。
私たちの心が仏さまのお心と通ずるところに明るい世界が築かれるのです。
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