好物・趣味
「おじいちゃんは甘いものが好きだったわね」
「この歌を聴くとあの人を思い出すよ」など、
亡き方を思い起させる好物や趣味というものがありますね。
法事やお墓参りの際に、故人の好きだったものをお供えすると、亡き方もそこにいらして共に語り合えるように思えます。
さまざまな思い出がよみがえり、あたかも亡き方がそこにいるような錯覚さえ覚えることもあるのではないでしょうか。
生きているうちから「○○を供えてくれよ」と伝えておくと、遺された側もお供え物をするたびにあなたに思いを寄せられるのではないかと思います。
誰に供えて欲しいか
お付き合いの相手との関係性によって思い出は変わります。
学生時代の友人、仕事仲間、趣味のサークル、飲み友達、それぞれの関わり方で、その人の印象は異なり、思い出の品や場面も変わってくるでしょう。
家族が知らない一面を、亡くなってから訪ねてくる方のお供え物によって知らされるということもあるかもしれません。
誰もが豊かな人間関係を築き、幸せな人生を送りたいと願っていることでしょう。
その反面、世の中にはちょっとしたきっかけで歯車が狂い、転がり落ちる様にすべてを失うこともあります。その結果、社会とのつながりが全くなくなり孤立し、たった一人で死んでいく方もいます。
しかし、その方々も一人で生まれ、育ってきたわけではありません。きっと亡くなってから、誰かに何かを供えて欲しいと思うはずです。
「死んだら無」
「死んだ後は自分の意識がないのだから何も供えなくていい」
「無宗教だから、魂なんて信じないから何も供えなくてもいい」
そういう人もいるかもしれません。
でも人間である以上誰かと関わらないと生きては行かれないはずです。
あなたが要らないといっても、誰かがあなたを思い出すきっかけとなるモノや出来事を残しているはずです。
あなたを覚えている人や、残した品物がなくなったときが本当の死だということもできます。
「死んだら無」というのは、自分の立場からだけの話で、多くの縁とつながりによって生かされている私たちいのちは自分だけのものではないと思うのです。
お祖師様にはお酒が
日蓮聖人は晩年、寒い身延の地で「はらのけ」を患い、体を温めるために信者さんが送ったお酒をありがたくいただいたというお手紙が数通残っています。
そんないわれから、日蓮聖人にはお酒がよくお供えされます。
でも、一番お好きだったのは法華経とお題目でしょう。
私もお祖師様にならって、お題目とお酒をお供えしていただければいうことはありません。
もうすぐお盆です。亡き方々が好きだったものを思い出してお供えしてください。
そして、自分は誰に何を供えて欲しいか、ゆっくりと考えてみてください。
ご自身の人生を見つめる機会にもなることでしょう。
まんだらエンディングノート
お供え お盆