自分のルーツを知る
先祖さまをたどることが自分はいったい何者なのかを知るきっかけになるかと思います。
しかし、それは容易ではありません。
両親・祖父母の名前はわかっても、8人いる曾祖父母のすべてのお名前がわかる方はどのくらいいるでしょう。
ルーツをたどるための手段として、役所に保管されている戸籍を取得する方法があります。
父母・祖父母の本籍地をたどっていくと全国広範囲に及ぶかもしれません。
最も古い戸籍は明治初期までということなので、それ以前のご先祖様をたどる際には、お寺の過去帳やお墓に刻まれた戒名がたよりです。
しかし、個人情報保護の観点からお寺として過去帳は誰にでも見せるわけにもいきません。
墓石に彫られた戒名と命日をヒントに推測するしかない場合もあるかと思います。
自分で調べるのは大変なので、行政書士や業者に依頼して、家宝として豪華製本することもできるそうです。
30代さかのぼると10億人?
直系をさかのぼるだけでも難しいことですが、両親で二系列、祖父母で四系列、曽祖父母で八系列と系列は倍々に増えていきます。
すべての系列の夫婦を数えてみると、両親で2人、祖父母が4人、曽祖父母は8人、その前の代は16人と計算していくと、10代前は1000人、30代さかのぼると10億人になる計算です。これに兄弟姉妹の関係が出てきますから途方もない数になってしまいます。
1世代20年で計算すると、30代で600年。
600年前の室町時代の日本の人口は800万人程度だといわれ、10億人もいるはずがありません。
そうならないのは、どこかの世代でご先祖さまが重なり合い今に至っているからです。
時代をさかのぼれば必ずどこかでつながっているのが私たち。
「人類みな兄弟」というのもあながち間違いではないのかもしれません。
血縁と絆を見直す
また、現在における結縁のつながり、つまり親兄弟・親族の糸を幅広く手繰り、職業・出身校などの情報までまとめると大きなネットワークが見えてきます。
もちろん、これにも個人情報の壁があり、利害得失も絡んでくるので容易に調べることはできないと思います。
昔は親族のネットワークがものを言い、政略結婚で領地や財産の安泰を図るということも多々あったわけです。
核家族化が進んだ現代は冠婚葬祭でしか親族と顔を合わせないとよく聞きます。
しかも葬儀や法事は小人数になり、ますます親戚づきあいの機会が減りつつあります。
いざという時のセーフティーネットでもあった血縁関係は機能しなくなり、失業や病気などで人とのつながりを失うと、社会の中で孤立してしまう世の中になっていく気がします。
本格的な家系図作成に取り組まなくても、両親・祖父母・親族の名前を書き出していくと、自分を育んでくれたつながりに感謝の思いがわいてくるのではないでしょうか。
そして、お墓参りをしたり、疎遠になっている親戚に連絡をしてみたり、絆を見直す機会にしてください。
人は一人では生きられないと再認識する作業になると思います。
家系図について
ルーツ 家系図