建築法話⑦ 縁側 縁側 縁

縁側

夏蒸し暑く、冬寒い日本の気候風土の中で快適に住まう知恵のひとつがです。
夏には日差しが室内に入るのをさえぎり、庭の緑を通して涼しい風を運びます。
冬には陽だまりをつくり、家庭の憩いの場となります。

かつてはと庭の間には建具がなく、雨から障子や畳を守るためにもは大切でした。
また、は人と自然が交わる場であるとともに、いろいろな人と人が交わる場所でもあります。
正客を迎える出入り口、通りがかった人との社交の場、農作業や日常の仕事など多くの機能を持っています。

仏教では世の中のすべてのことは何かしらの関係があって、お互いに助け合い、生かされて今がある、そのつながりを「」といいます。
は自然や人と数多くの「」を、ほどよいかたちで結び感じさせてくれるところだと思います。

しかし、入り口が扉一枚の現在の暮らしでは、「」を感じることはむずかしくなりました。
暑さ寒さには空調機で対応する、四季の変化はテレビの旅番組で感じる、人とのつながりは携帯電話やパソコンに求める。そのように自分が好むだけを選んでいると、もっと大きな「」の中で生かされていることを忘れてしまいます。

なき衆生は度し難し」ということわざがあります。仏のない者は仏さまでも救えない。転じて、聞く耳を持たない者はどうしようもないという意味です。
なき衆生にならぬよう、「」を受け入れる心のだけは持ち続けたいものです。



縁側について

縁側 縁

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