畳
畳は「たたむ」ことができる敷物に起源があり、『古事記』にその最初の記述があります。
平安時代、貴族の生活では畳の大きさと厚さが身分を示していました。今でもお寺のお堂の中では、拝敷(はいしき)や礼盤(らいはん)など特殊な畳が格式付けの役を担っています。
畳が庶民の住宅に敷かれるようになったのは、江戸時代中期のことです。それ以来、畳が私たち日本人の精神文化に与えた影響をあげてみると、
①広さの感覚
部屋の広さをとらえるとき、ほとんど無意識に畳の枚数に換算します。
②整理整頓
座卓や座布団を置くとき、縦横に走る畳の線に合わせます。
③合理性
食事、接客、作業、就寝などすべての日常生活を営みます。
④座る視点
低い視点から鑑賞する生け花や掛け軸、庭などの文化が育まれました。
⑤正座の緊張感
背筋を伸ばして正座する機会が多く、適度な緊張感を養うことができました。
かつて、四畳半のお茶の間は家族団欒の代名詞でした。畳の部屋は家族と語り合ったり、寝転がってくつろいだりする一番安心な自分の居場所だったはずです。
畳がカーペットやフローリングに変わり、家族は茶の間を素通りして個室にこもる現代、畳の文化とともに、家の中で培われ、伝えられるはずの正しい教え=信仰が失われていくように思えてなりません。
畳について
畳 座