まずは健康とお金?
さまざまなエンディングノートが販売・配布されていますが、それを手に入れても書き込む人はわずか数%程度だといわれています。
「いずれ書くつもり」「眺めているだけで満足」という方が多いのではないかと思います。
超高齢化社会、長い老後にどう備えるか。気になっていてもなかなか動けないというのが本音ではないでしょうか。
自分らしい人生の締めくくり方を考える「終活」がブームになって久しいですが、実際に踏み出すには、差し迫った具体的なきっかけが必要なのでしょう。
元気で働いている方も、リタイアして年金生活という方も、いつまで健康でいられるかということが大きな課題です。
介護や入院の費用も見越しておかなければなりません。
老後の健康とお金のやりくりを計画的に考え、保険や年金について念入りに検討することも大事です。
現代は介護や医療のみならず、育児から葬儀まで、すべてにおいて専門業者に外注する世の中です。
そうなると余計に老後に向けてお金を蓄えなければ不安になることでしょう。
でも老後の人生を見据えるにあたって、差し迫って必要なものがお金で本当に良いのでしょうか?
身延の日蓮聖人
日蓮聖人は晩年の八箇年を身延の山中で過ごされました。
ご入滅の数年前のお手紙には「はらのけ」「やせやまい」などの表現が見られます。厳しい身延の環境から胃腸の病を患われたといわれています。
また身延には聖人を慕って数十名の弟子や信者がともに生活をしていたので、日々の食事にも苦労されて、暮らしは相当に大変だったようです。
そのような身延の日蓮聖人のもとには各地の弟子信者から食料や衣料などたくさんの供養の品や金銭が届き、その生活を支えていました。
日蓮聖人はその礼状に釈尊の教えや信仰に関する教示を書き添え、布教に専念されていました。
日蓮聖人の晩年は、山中に隠棲しても、病を患っても、変わることなく仏道をまっすぐに歩まれていたのです。
その結果として、神仏に守られ、多くの人々に支えられ、充実した晩年を過ごされていたのだと思います。
終わりなき終活
人との縁が薄くなった社会、お金に依存した生き方では、お金がなくなったら生きていくことができないということになってしまいます。
しかし、国や社会が生活を保障してくれるという仕組みはそう遠くない未来に崩壊してしまうかもしれません。
これからの時代、自分の健康や財産の心配だけではなく、社会全体のことを考えて行動しなければ、地球全部が共倒れにもなりかねません。
これまでの人生を振り返り、経験と反省を活かしながら、それぞれの立場で最善を尽くし、欲を張らずに、みんなが程よく満足に、幸せに暮らせるように、あなたのこれからの人生を考えてみてください。
それは一人でできることではないでしょう。
あなたが生きているうちだけの問題ではないとも思います。
あなたが死んでもいのちの営みはつながっていくのですから、本当の終活に終わりはないのだと思います。
終活
終活 晩年