義父母の仏壇
新聞に「義父母の仏壇を引き取りたくない」という記事が掲載されていました。
夫の両親の死後、確執があった夫の両親の仏壇を引き取りたくないという女性からの投書に対し、「嫌な思いをさせられたのなら仏壇も大切にできるわけがない」「家に置くぐらいの譲歩を」「魂になった人を恨んでも…」など、賛否様々な意見が寄せられていました。
そこには仏壇は親から受け継がれるが当然だという考えはなく、夫と妻、親と子は別の存在であり、究極の個人主義が蔓延している世相が読み取れます。
そして、仏壇は信仰の場であるという基本はすっかり忘れ去られているのが現代の家族ということも実感しました。
また、義父母の仏壇を引き取ることによって、夫婦双方の親の仏壇が並んでいる家庭も増えています。
この先少子化の流れの中で、両親双方の祖父母の仏壇四つを抱えた男女が結婚し、八つの仏壇が一件の家の中にということも起こり得るかもしれません。
しかし、そのまえに仏壇は要らないという世の中にならないようにと祈るばかりです。
仏壇とは
そもそも仏壇とは、仏さまを安置するための場所です。
しかし、ご先祖さまや亡くなった方のお位牌をお祀りする場所だと勘違いされている人が多いのではないでしょうか。
仏壇の中央にお祀りしたご本尊の脇にお位牌を置くのは、仏さまのおそばで亡き方々をお守りいただくためです。
昔は、親元から分家する折には、仏壇をつくって出たそうですが、今では「うちは亡くなった人がいないから仏壇はいらない」といわれてしまいます。
ご先祖さまや親兄弟、周囲の人たちに支えられて今の自分があるという意識も希薄になり、自分一人で生きているのだと思い上がっているところに現代社会のゆがみが出てきているように思えてなりません。多くのいのちに支えられていることに感謝し、自らを省みる場所が仏壇であると理解してほしいところです。
冒頭の新聞記事のように、義父母との確執があったとしたら、仏さまのお力を借りて、義父母への怒りという執着から離れられるようにと、手を合わせる場が家の中にあるというのもありがたいことだと思うのです。
仏壇を閉じる
仏壇を新調するので古い仏壇をお焚き上げする場合や、引き取り手のない仏壇を閉じる際には閉眼供養を営みます。仏壇は仏さまを祀る場です。
仏さまそのものである「御本尊」と、ご先祖さまやご身内の「お位牌」には、これまでたくさんの祈りが捧げられ魂がこもっていると考えられます。そこで魂を抜く閉眼供養をするようにといわれているわけです。
閉眼供養を営む際には、仏壇に祀られていた仏さまに感謝の思いをお届けし、亡き方の冥福と縁者の幸福を祈り、おつとめをした後、静かに仏壇の扉を閉めさせていただきます。
扉を閉めた瞬間、仏壇は身近で仏さまが見守ってくださっているありがたい場所であることを再認識させられます。
仏壇の処分に悩まれている方もあるかと思いますが、仏壇を閉じるその時が、仏さまとのつながりに気づく時になるかもしれません。
仏壇
仏壇 閉眼供養