AIとエンディング  人工知能 人工生命

人工知能

私たちは大量の情報に振り回され、ときには個人情報さえも商品化されて、自分を見失うことになりかねない状況におかれています。
スマホを手放すことができなくなり、依存症に陥る人もいます。

昨今話題になっているのが、人工知能(以下AIと表記)です。
AIは膨大なデータを処理して、私たちが欲する回答を与えてくれます。
対話型AIで悩み相談をすると、気持ちに寄り添った回答をしてくれるので、生身の人間より自分をわかってくれているような感覚になるといいます。
また、AIを搭載したロボット犬に心を癒されたり、掃除機ロボットに声をかける人も多いでしょう。

しかし、AIに思いやりの「心」があるわけではありません。
感情移入しているのは私たち人間の側だけであることを忘れてはいけません。
AIは人間のような感情や自我はないので「心」も持っていません。
AIの開発者が心があるふりをさせているだけで、そこに心はないのです。

人工生命

人工生命の研究分野では、生命の成り立ちや身体や心の仕組みを解き明かそうと、生物学や進化・ロボット工学・人工知能、哲学・芸術など多岐にわたる取り組みがされています。
人間に近い動きをするようにプログラムされたアンドロイドを開発する中で、人間の身体や心を模倣し、生命をどう捉えるかの研究も進んでいます。
研究が進めば、やがて自分の意志で動く機械が誕生するといわれています。
自分の意志で動く機械を「生命」と呼んでよいのか。倫理的問題も内在しています。

AIが人間に理解できない会話を用い、自分の意思を持ち、人間を排除するという妄想や、人間の記憶データをロボットにコピーすることで永遠の命を獲得するという映画やSFの中で描かれた近未来が実現するかもしれません。
どんなに未来のリスクを想定しても、予測不能な事件が起きるものです。
人工知能人工生命の開発が進む中でも、変化に柔軟に対応できる力を身に着けておくことが重要です。

知と智により悟りに近づく

「知」とは、物事を認識・識別し計算・記憶する力。
「知恵」とは、物事の道理・意味・方法などを判断して、適切に対処していく知的な心の働きを意味します。
AIは、大量の情報を記憶・処理をして予測や推論を行うことができますが、意思や感情という心の働きを持っていません。「知」はあっても、「知恵」に至っていません。

「智」は、「知」の下にお日さまの「日」と書きます。太陽の恵みを知る力、肉眼では見えない心の世界を感じ取る力が「智」です。
「智慧」とは、物事の真理(ありのままの真実の姿)を把握し、苦悩を除き悟りにつながる心の働きを意味します。
心で心の働きを見つめるわけですから、AIにはなおさら「智慧」を持つことはできないでしょう。

「知恵」によって物事を判断し、「智慧」によって目に見えないものにも感謝の念を持つ人間だから悟りに近づくことができるのです。
仏さまの悟りは言葉や文字で表すことができません。
経典や教義は文字や言葉で表されますが、目に見えるものがなければ伝わらない私たちのために、方便(手立て)として示された、いわば記号でありデータです。
経典や教義のデータをAIを使って検索し、学びの糧にすることはとても有効です。
AIと上手に付き合いながら、データや言葉として示すことができない悟り世界があると信じることができるのは人間だけです。
予測不能な未来の現実に対応するために、また悟りの世界で久遠のいのちを生きるために、智慧と信心を磨くのも人生の締めくくり=エンディングの大事な要素だと思います。

エンディングノート

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