二十四節気 冬至
冬至
二十四節気の冬至は旧暦の基点とされています。一陽来復。太陽が復活する日です。
冬至は一年で一番昼が短く、夜が長い日。
世界的にも北半球の多くの地域では、冬至日を聖なる日としています。
北欧の冬至のお祭りユール(聖ルチア祭)や古代ゲルマンの冬至祭、ミトラ教の冬至祭などがキリスト教に取り込まれ、クリスマスになったという説もあります。
日本も例外なく、農閑期であるこの時期に神楽を舞って一陽来復が祝われてきました。そのため旧暦の霜月は神楽月とも呼ばれます。新嘗祭が行われたのも、もとは旧暦霜月の二度目の卯の日、つまり冬至の頃でした。
明治6年に新暦が採用されてから、旧暦の行事が単に新暦の日付けに変わったものと旧暦に合わせてひと月ずらしたものと、けっこういい加減に決められてしまったことで、本来の行事の意味が分かりにくくなってしまいました。現在の11月23日の勤労感謝の日が、元は新嘗祭の行事の日だったことを知る人は少ないのではないでしょうか。旧暦を見直してみると、日本で行われた行事ひとつひとつに意味があることが改めてよくわかります。
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七十二候 冬至初候 夏枯草、生ず
夏枯草(なつかれくさ)、生ずは「乃東生ず」とも書かれます。夏枯草とはウツボ草のこと。
冬至の頃にはウツボ草が地中から芽を出し始めます。丁度、反対になる夏至の七十二候が「夏枯草枯れる」とありますから、実はウツボ草とは重要な季節を知らせる植物だったのだとわかります。初春に紫色の小さな花を鈴なりにつけるウツボ草は、現在では単なる雑草としか思われていません。しかし、古えでは、利尿作用や消炎の薬草として、花穂を煎じて飲んだようです。今のように、薬局で薬が簡単に手に入る時代では想像できかねますが、昔は薬と言えば薬草でしたから、人々の植物に対する知識は広く知られていたのかもしれません。
七十二候 冬至次候・・・大鹿角を落とす
七十二候 第六十五候 大鹿角を落とす
北海道では、鹿の角が落ちているのを見かけることがあるとか。鹿の角は冬に生え変わるのだそうですが、写真で見る限り、こんな立派な角が落ちるとは到底考えられない私です。
雄だけに生える角は、骨化ではなく皮膚が盛り上がってできたもので、毎年生え変わるのです。奈良公園のように放し飼いにしている鹿の場合は、角が危険なので無りやり切ることもあるそうですが、基本は自然と脱落するとのこと。角が脱落した、その瞬間を是非近くで目の当たりにしたいものです。
また、鹿の背に出る白い斑の模様は鹿の子模様と呼ばれ、夏の季語。着物の模様や和菓子の名前をしても使われる風流な言葉です。この白い班模様は冬毛になると消えてしまい、雄は茶色一色に、雌は灰色になっていくそうです。
七十二候 冬至末候 雪下麦出
七十二候 第六十六候 雪下麦を出だす
春の準備がすでに始まっているとは信じられない寒さが続いてますが、雪の下ではもう麦が芽を出します。
寒月が夜空に冴える頃です。冬の夜は空気も冴え冴えとし、星も月も美しく見えます。冬至を終えたとはいえまだ長い夜。夜空に輝く木星や、日の出前の明けの明星を見るのもいいものです。
冬至の次の節気は小寒です。
小寒からは「寒の入り」寒さはさらに厳しくなります。
七十二候で季節を感じる 二十四節気 冬至~小寒
冬至 二十四節気