七十二候 第六十七候 芹乃栄
小寒
二十四節気ではいよいよ小寒になりました。小寒は寒の始まりなので、「寒の入り」。小寒から大寒を経て、立春前までは「寒のうち」です。
七十二候 小寒初候 芹乃栄う(せり、さかう)
芹が盛んに伸び出す頃です。
芹と言えば、「春の七草」のひとつ。
丁度1月7日は七草粥で、一年の無病息災を願い食する行事がありますが、旧暦の頃は、もちろん七草粥の日も旧暦の一月七日に行われていました。旧暦一月は新暦で2月頃ですから、その時期なら野に七草が生え育ち、若菜摘みをするのも可能だったでしょう。
七草粥の風習の由来は「人日(じんじつ)」の日という、中国伝来の「人日の節句」という五節句の一つがもとになっているらしいとのこと。人日とは人の日という意味で、漢の初期ごろに行われていた節句の行事でした。新年元日には鶏を、2日は狗(犬)、3日は猪、4日は羊、5日は牛、6日は馬、7日は人、8日に穀をそれぞれ占ったのだそう。唐の時代になると、人日の日に「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という7種類の若菜を入れた汁物を食べて、無病息災を願うようになり、それが平安時代の日本に伝わったようです。
万葉集にも出てくる若菜摘みは、魂振りの意味を持つ習俗で、豊作への予祝として行われていました。この若菜摘みという伝統風習と人日の節句が結びついたというのが、七草粥の由来の一つとのこと。江戸時代には、年中行事となっていきました。
七十二候 第六十八候 水泉動
七十二候 小寒次候 水泉動く(すいせんうごく)
小寒から5日目、地中深く凍っていた泉が動き出す頃。
冷たい風が吹き、寒さも厳しさを増してきました。
師走(しわす)は、日時が果てることから「しはつる」が転じて出来た月です。限月(かぎりづき)、極月(ごくげつ)、寒月(かんげつ)などの別名もありますが、凍てつく寒さの中にも、春の予感を感じる頃です。モクレンの花芽が育ち始め、桜の枝には、まだまだ固いけれど小さな花の芽が、ほんの少し膨らんできています。
地中では、氷が解け、泉が動き出すこの頃の春のきざしは、寂しい冬の生活に喜びをもたらします。
新春という言葉にふさわしい季節が、小寒の次節の頃でしょうか。雪の下では蕗の薹が花芽の準備をしているでしょう。一年で最も寒いとされるこの時期、敢えて寒さを味わって早朝散歩などをして、小さな春を見つけてみるのもいいものです。
七十二候 第六十九候 雉始鳴
七十二候 小寒末候 雉、始めて鳴く
雄の雉が鳴き始める頃、とされています。
雉は、ケンケンと鳴くのですが、雉がよく鳴くようになるのは3月頃とのこと。始めて鳴き始めるのがこの時期なのでしょう。雉は鳥の中でも比較的大きめです。山裾の林の中などにいて、鳴いているのを一度見たことがありました。鳴くのが求婚の為とは知らなかったのですが、甲高い声で鳴くのは雄なのだそう。
大寒へと向かうこの時期、寒さは厳しくなっていくのでしょうか?
物事が順番に行かないこともあるという例えに「小寒の氷、大寒に解ける」という言葉があります。小寒よりも大寒が温かい年もあるといいますが、さて、今年の寒さはどうなるでしょう?
七十二候で季節を感じる 二十四節気 小寒~大寒
七十二候 小寒