二十四節気 夏至
二十四節気
夏至 (5月中)
6月21日~
陽熱至極しまた日の長きのいたりなるを以て也 (こよみ便覧)
梅雨真っただ中。紫陽花がここかしこに咲きジメジメした季節に爽やかさを添えています。
2013年の夏至は6月21日です。
太陽の日中高度が一年で一番高く、日照時間が最も長くなり、この日を境に冬至へ向かって日が短くなっていきます。冬至と比べると5時間余りも昼の時間が長くなるそう。
太陽の運行を測るうえで欠かせない日が夏至・冬至です。二十四節気はもともと太陰暦との季節の誤差を埋めるために考え出されたもので、冬至を基点として一年を24等分したもの。1等分は大体15日としています。七十二候は一年を七十二に分割して5日ごとの気候の変化を動植物や気象などで表したものです。
夏至の日は世界各地で古代から大切な儀式が行われてきました。しかし、現在では夏至は昔ほど重要視されなくなっているようです。
それでも、最近は「キャンドルを灯して」「キャンドルナイト」など、蝋燭を灯すイベントが、夏至の頃の行事として世界中で行われるようになってきました。
環境にも優しく、静かな中にも華やかなキャンドルを灯すイベントは、日本各地でも盛んになってきています。
池上本門寺でも、6月15日の夜「100万人のキャンドルナイト」が東日本大震災の被災者への追悼の意味も込めて催されました。ゆらゆらと揺れるろうそくの灯を楽しみながら、日頃忙しくなりがちな生活から少し遠のいてみることのできる時を過ごしてみるのもいいものですね。
七十二候 夏至初候 乃東枯る
6月21日~25日頃
七十二候 第二十八候 乃東枯
「ないとうかるる 」と読ませます。
「なつくさかるる 」とも。
冬至の候に「乃東生ず」があります。「乃東」とはウツボ草のこと。ウツボ草は、冬至の頃に芽を出し、五,六月に紫の小さな花穂を咲かせます。花穂を煎じたものは利尿作用や消炎作用があり、西洋でもALL-HEALと呼ばれています。
入梅後の日本の夏至の頃は、多湿によりカビの繁殖が活発になる頃。疫病もこの時期に流行ることも多かった為、昔から疫病除けなどの行事が行われてきました。
旧暦の五月とは、新暦では丁度今の時期であり、疫病を避ける為に菖蒲湯に入ったり、茅(ちがや)で包んだお餅=茅巻き(ちまき)を食べたり、蓬(よもぎ)を軒先に吊るしたり、蓬餅を捏ねたりと、薬草を生活に取り入れながら効率的に体を浄めていたことが伺われます。
京都の祇園祭や八坂神社の祇園祭りも、起源をさかのぼると、牛頭天皇(ごずてんのう)を祭ることで疫病の流行を鎮める為に行われたといいます。
食べ物が傷みやすく、カビや菌の繁殖が盛んになるこの時期は、現代でも掃除をまめにするなどの対策をしている方も多い事でしょう。「浄め」て「清浄」を保つことがひいては健康や家内安泰などに繋がるとの連想は理にかなっていると思いませんか。
七十二候 夏至次候 菖蒲華さく
七十二候 第二十九候 菖蒲華
6月26日~30日頃
「しょうぶはなさく」と読ませます。
菖蒲・花菖蒲・あやめ・カキツバタの違いってわかりますか?
左の写真が「花菖蒲」だとわかった方は素晴らしい!
私はまったくわからなかったのでこの機会にと調べてみました。
菖蒲
菖蒲はサトイモ科のショウブ属です。私も勘違いしていたのですが、花菖蒲は菖蒲とは別物です。葉っぱが似ているけれど菖蒲の花は黄色いガマの穂のようなもので、菖蒲湯などで使う効能のあるものはこの菖蒲のほうです。
花菖蒲
花菖蒲はアヤメ科で、色は黄・白・紫など様々ありますが、共通なのが花弁の中央付近に黄色い目模様があること。比較的大きめの花です。
あやめ
あやめは花菖蒲とは違うアヤメ科で、中央花弁付近にある網目模様が特徴。陸生で乾燥した畑などに生息します。
カキツバタ(杜若・燕子花)
カキツバタは尾形光琳の燕子花屏風が有名ですね。
金屏風に美しい紫の花が艶やかに描かれています。
このカキツバタは花弁中央付近が白いのが特徴です。
水生なので水辺に生息します。
「あやめは陸生・カキツバタは水生、花菖蒲はどちらでも生育可能」
と覚えるといいかもしれません。
畑などで咲いているのはあやめか花菖蒲。比較的大きいのが花菖蒲で小さいものがあやめ。
水辺で咲いている場合はカキツバタか花菖蒲。大輪ものが花菖蒲で、カキツバタは背が低くやや小さい花
なにはともあれ、一番わかりやすいのは
・花菖蒲は花弁の中が黄色
・あやめは花弁の中が網目
・カキツバタは花弁の中が白
と覚えれば簡単に見分けられそうです。
あとひとつ、関連豆知識を!
「いづれあやめかかきつばた」という言葉がありますが、これはどちらも美しく甲乙つけがたいという良い意味で使うのだそうで、どちらかわからないという意味ではないそう。
誉め言葉なのですね~♪
七十二候 夏至末候 半夏生ず
七十二候 第三十候 半夏生
7月1日~6日頃
半夏生は「はんげしょうず」と読ませます。
半夏生は夏至から数えて11日目頃といわれていますが、だいたい7月1日~2日頃。
「半夏」とはサトイモ科のカラスビシャク(烏柄杓)。これも薬草です。
乾燥させて用います。鎮吐作用があり、サポニンを多く含むのだとか。漢方薬でも有名ですね。
この植物が生えだすと梅雨の末期だとの合図です。
半夏生の日は、農作業を終えこの日から五日間は休みを取る所もあるそう。鯖や蛸、うどんを食べる習わしがある所もあるようです。また、天から毒気が降ると言われ井戸に蓋をしたり、土いじりをしないなども。
農事では半夏生は大切な節目なのですね。
写真は「半夏」とは違う「半夏生」という植物。
こちらはドクダミ科です。
葉が白く化粧したようにみえることから「半化粧」とも書かれます。
植物がしかも薬草がメインの夏至の候でしたね。
半夏生を過ぎると、いよいよ夏本番。小暑の到来です。
二十四節気と七十二候 夏至
七十二候 夏至