二十四節気 小暑
二十四節気
小暑 (六月節)
7月7日~22日頃
大暑来れる前なれば也 (こよみ便覧)
本格的な暑さの到来の頃。
梅雨が明けてようやく夏らしさがやってきます。小暑は次第に暑くなるという意味。このころからさらに暑さが増してゆき、「大暑」に暑さのピークを迎えます。
小暑に入った頃からお中元や暑中見舞いを出し始めますので、何かと気忙しい時期です。
いよいよ蝉も鳴きはじめて、本格的な夏の始まりですが、北陸地方や東北地方では依然梅雨真っただ中。
東京や一部の地方では7月13日~16日にはお盆を迎えます。
都内ではいろいろなところで「ほおづき市」が開かれていますのでチェックしてみるのも楽しいですよ。
池上本門寺では6月末から7月20日まで、仁王門前の境内に500個もの風鈴が飾られて美しい音色を響かせています。ひとつひとつの風鈴には、願い事が書かれた短冊が吊るされています。期間中は不定期で土日に短冊に願い事を描くワークショップを開催しているようですので出かけてみてはいかがでしょうか。
今年の小暑は7月7日で七夕でもあります。
笹の葉に願いを書いた短冊をつけた笹竹を飾る風習は江戸時代にできたようで、ルーツは夏越の祓えで茅の輪の両脇に飾られた笹竹でした。笹竹に願い事を書いた短冊をつけて7日の夜半に川に流したと言います。その短冊が芸事の上達を願った七夕の行事と合わさったようです。
本来の七夕は旧暦7月7日でしたから、新暦では約一か月後の8月半ばに当たります。
新暦7月7日の七夕は5割がた雨。というのも梅雨の時期ですから星空も見えない日の方が多いのです。
8月7日の立秋を過ぎれば、夜空にも星がみられる晴天の日も多くなりますから、都会を離れた空気のきれいな場所では美しい天の川も見られることでしょう。
ただ今年の7月8日は新月ですので、もし上手く晴れれば、夜8時~9時頃の東の空に夏の大三角形が見られるかもしれません。
夏の大三角形
7月から8月にかけて東の空に比較的良く見える3つの星があります。
一番上に白く輝くのがこと座のベガ。その右下にわし座のアルタイル、そしてその左に輝くのが白鳥座のデネブです。この3星が「夏の大三角形」と言われています。
そのほか、南の空にはさそり座のアンタレスも赤く輝いて見えるようになります。
夏休みももうすぐです。星座の観察に郊外へ出かけてみてはいかがでしょう。
七十二候 小暑初候 温風至る
七十二候 第三十一候 温風至
7月7日~7月11日頃
「おんぷういたる」と読ませます。「あつかぜいたる」とも。
熱風が吹いてくる頃です。この時期、最近ではゲリラ豪雨とも呼ばれている集中豪雨が降りやすくなります。
スーパーセルと呼ばれる積乱雲が、突発的で局地的な豪雨をもたらすようです。
都内では河川から水が溢れ、低地での治水対策に頭を悩ます自治体もあるのではないでしょうか。
この時期は雷も多く発生しますが、稲妻は稲の妻と書くほど、稲の成長に必要な窒素を地中に届ける重要な役目があります。
空中にある不活性窒素が雷による放電などにより雨水に溶けて、それが地中に固定されるというしくみなのだそう。
「鳴神月」とも言われる「水無月」。本来は水が枯れるほどの暑さの季節です。しかし渇水も困りものですし、かといって豪雨による被害も困りますね。何事もほどほどが丁度いいのですね。
七十二候 小暑次候 蓮始開く
七十二候 第三十二候 蓮始開
7月12日~16日頃
「はすはじめてはなさく 」と読ませます。
蓮の花が開き始める頃です。
泥の中に根を付け水上で美しく花開く蓮は夜明けとともに咲き始めます。
古代エジプトでは再生・復活の意味を持つ蓮が柱頭のデザインや壁画の装飾とされてきました。古代エジプトを発祥とした蓮のデザインは西から東へと異文化を吸収し変化をつづけながら伝わり、やがて極東の日本へたどり着きます。着物布地の文様や寺院建築の装飾意匠として、まるでもともとの日本の文様であるかのように変化を遂げて受け継がれています。
蓮の茎は真ん中が空洞になっていて、ストローのようです。この蓮の大きな葉にお酒を注ぎ、葉と茎のつなぎ目に小さな穴を開けて、ストローのように飲むというのが象鼻杯(そうびはい)または碧筩杯(へきしょうはい)ともいうものです。
「蓮の蓮茎をつらね採って、葉の正中より茎に孔を明けて酒をつぎて其の茎の元より吸うを薬なりとて、人のなすことなり」 (古今要覧稿)
中国で祝いの宴で、それが奈良時代に日本に伝わり宮中の暑気払いの行事として催されたといいます。
頂いている姿がまるで象の鼻のように見えることから象鼻杯と名がついたのでしょうね。葉に注がれたお酒が蓮の茎を通る中で香りや成分を移すのでしょうか、「長寿」の薬酒とされたようです。
一度飲んだことがありますが、吸うまでにちょっと時間がかかり、ほっぺをへこませた顔はあまり品良くみえませんけれど十分楽しめました。皆さんも一度体験してみては?
七十二候 小暑末候 鷹乃学習す
七十二候 第三十三候 鷹乃学習
7月17日~22日
「たかすなわちがくしゅうす 」と読ませます。
鷹の雛が飛ぶことを覚える頃。
鷹や鷲は2月頃に巣をつくりはじめますが、抱卵期が30日~40日かかり、さらに子育てに40~50日かかるため、雛が育つのがこのころになります。
私は「英語で鷹は何て言う?」と突然質問されて即答できなかったのですが、
「鷹はホーク、ダイエーホークス。鷲はイーグル、楽天ゴールデンイーグルスって覚えるといいよ」と教えてもらい納得。
鷹と鷲ってどっちだっけ?!そんな方も球団のイラストでなら違いを覚えられそうですね。
7月19日は夏の土用の入りです。この日から立秋の前日までが土用。猛暑の夏の土用には「うなぎ」と決まっていますが、ここ最近はうなぎの稚魚が採れないことから、うなぎの高騰が問題になっています。無いとなったら逆に食べたくなってしまうのも人情です。稚魚問題が解決し、また美味しいうなぎが心置きなく食べられる日が来ることを願ってやみません。
二十四節気と七十二候 小暑
小暑 七十二候