「お会式参拝ツアー」Aコース
毎年行われる池上本門寺のお会式。日蓮聖人御入滅の10月13日に合わせて3日間行われます。
盛大な行事ですが、「いったいお会式って何?」という方も多いようで、大田観光協会では「お会式参拝ツアー」を開催。2日目の「万灯練行列」をメインとしたツアーです。
Aコースでは、午前9時に集合し、「御衣更法要」を参拝。お召し講の行列を本門寺山門のあたりから拝見しましたが、ツアーに入っていなければ、どこから行列が始まるかわからなかったと思います。
大堂へ行く途中に、大きな角塔婆が建っており、大堂に向かって白い布が括り付けられています。実は昨日から気になっていたのですが、私は角塔婆が倒れないための地震対策だと思っていたのです。この白い布は大堂内を通って日蓮聖人御尊像の左手につながっているそうで、この白い布に触れると、御尊像と握手をすることになるとのこと。とんでもない勘違いをしていました!
御衣更法要が終え、昼食を頂きます。12時半からの法話までの空き時間、永寿院の吉田尚英ご住職が大堂内を案内。お坊さんは普段から美しい所作を意識しているそうで、例えば廊下をまっすぐに歩いたり、曲がり角で直角にスッと曲がるために、天井の照明を目印にしながら歩いているらしいです。
そんなおもしろい話を聞いていると、すぐに法話の時間。大磯町延台寺の中島源吾師による「子供には苦労させろ」と題する法話。
不思議な題ですが、ご自身のアメリカでの経験で気づいたことなど、非常にわかりやすく、現代の日本人の心の隙間を突くような内容。個人主義に傾く社会の流れは本当にこのままで良いのか、個人主義と言いながら自分の意見を持っていない人が多い等々、大人にも耳の痛いお話です。
法話が終わると、境内参拝。本殿から御廟所、歴代墓所、宝塔(日蓮聖人御荼毘所)、大坊本行寺を散策。一つ一つの場所について、吉田尚英ご住職からのご説明があり、ツアー参加者は耳を傾けます。
池上本門寺の各建物について、実際に説明を聞きながら巡る機会は大変貴重。今回のツアー参加者はほとんど日蓮宗ではない方々でしたが、熱心に説明を聞く姿が印象的でした。
大坊本行寺にて解散。日蓮聖人がご入滅された際に、季節外れの桜が咲いたという言い伝えがあり、ここには「お会式桜」が柵に覆われて植えられています。実際に目の前で桜が花開いていたので本当に驚きました!
「お会式参拝ツアー」Bコース
午後5時、永寿院にて集合。参加者は約70名とたくさんの方々が参加。本堂内に入ると、造花の「お会式桜」がビンにさして並んでいるのが可愛らしい。
永寿院の吉田尚英ご住職より、お会式の説明と日蓮聖人の生涯についてのお話を拝聴。その間に、開発された「光るお会式桜」が一本一本点灯されます。長い棒に5つの紙の桜の花が並んでいますが、花の中心にLED電球があり、なんと持ち手のスイッチを押すと点灯するような仕組みになっているのです!
棒の部分には「南無法蓮華経」や、本日の日付等が細かな手書き文字で書き込まれています。すべての「光るお会式桜」が点灯されると、堂内を消灯。参加者も思わず嘆息する美しさです。
夕食には「雪谷コラボ膳」という雪谷商店街の4店舗がコラボした特製お弁当を頂きました。
さて、7時過ぎに永寿院を出発! お会式桜が光る列になって五重塔を横切り、大堂へ向かいます。大堂前は大変混雑しており、規制線が張られている状況。驚きも束の間、ツアー参加者で一瞬記念撮影をした後、大堂内にてうちわ太鼓を打ち鳴らし、唱題行。「南無法蓮華経」と太鼓の音で堂内はワンワンと響き、振動しているようです。
いったいどのくらいの人数なのか把握する暇もなく、本殿の万灯講中休憩所と書かれた場所へ向かいます。
すでに周囲は真っ暗ですが、あらゆるところで何かが光り、太鼓の音、笑い声が聞こえてきます。普通のお祭りと違う印象なのは、おそらく唱題に合わせた太鼓の音が揃っているためか、音が規則的に聞こえてくるからかもしれません。
光るお会式桜を手に、Aコースで廻った順番に参拝していきます。最後に大坊本行寺にて解散。昼間に見た本物の「お会式桜」の花びらが、光に照らされて白く輝いていました。
お会式参拝ツアーの感想
お会式の一日を両ツアーに参加してみましたが、ツアーに参加しなければ知り得なかったことがたくさんありました! 何も知らずにぼんやりとお会式に訪れていたら、「賑やかなお祭りだな」で終わっていたと思います。
特に法要の進行や、法要の行われる意味を知らずに眺めていたなら、日蓮宗の信者ではない私などにとっては、単なる不思議な光景として記憶に残るだけになってしまったでしょう。
今回の「お会式参拝ツアー」は、「お会式について知りたい」というリクエストに応える形で大田観光協会が開催したツアーです。その内容は日蓮聖人のご生涯や池上本門寺について、また池上という町についてなど、「お会式」にとどまらない情報が盛りだくさん!
「ツアー」という名が付いていますが、観光としての楽しみだけではなく、歴史と文化を体験する非常に有意義な時間を過ごすことができました。
(記者Y.S)
お会式参拝ツアーレポートについて
お会式 ツアー