お坊さんと行く「東京の山を知る」スタディ・ツアーレポート 多摩の山で、日本の林業を学ぶ 杉塔婆 東京 永寿院
お坊さんと行く「東京の山を知る」スタディ・ツアーレポート
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2012-11-02 ウェブ新聞社 取材班
多摩の山で、日本の林業を学ぶ
8月27日、「杉塔婆の普及を考える会」主催のスタディ・ツアーが開催。
多摩産の杉を塔婆に利用して、東京の林業を守っていく運動です。
午前10時、JR武蔵五日市駅に集合。武蔵五日市という場所には初めて来たのですが、本当に何もない! 少し駅を離れると、渓流が流れており、水の流れの音が心地良く聞こえてきます。
駅から車で移動し、山へ。林業を営む方のガイドがあり、実際に多摩の森林を体験。
山の中へ入ると、すっきりと高く伸びあがった杉の木が目に入ります。一度人の手の入った人工林を維持するのは大変だそう。特に現在の日本の林業は、人手不足、海外からの輸入木材によって、林業自体が危機を迎えており、日本の木材の自給率は20パーセントほど。
また、手入れが行き届かず、木材としての価値が下がった多くの木が廃材として捨てられることも問題になっています。身近にある貴重な資源を、無駄なく使っていくことが大切なのですね。
原木市場見学
原木市場の様子。
伝票や記号の書かれた木材がゴロゴロと並んで、普段は見慣れない光景。木に近づいてよく見てみると、真ん中が赤みを帯びていて、節が目立つものも。ほんのりと木材の香りが辺りに漂います。
それぞれの木は同じものはなく、中には売れ残ってしまう木材もあるそうで、それらの木材は廃材になる運命に。資源の無駄と共に、この木を育ててきた人たちの思いを考えると、本当に残念なことです。
杉塔婆工場で、実際に「杉塔婆」を作る様子を見学!
杉塔婆を実際に作る様子を、工場で見学。
工場の中へ入ると、杉の良い香りが広がり、杉で作った塔婆はピンク色がかったやさしい色合い。
現在、杉塔婆を使用する寺院は約60ヶ所とされ、軽いので、塔婆に文字を書く僧侶さんにも好評だそう。
工場では、僧侶さんに書きやすいよう、塔婆の表面をなめらかにする作業も見学。
塔婆を作る際に出る端材を、圧縮したペレットというチップ状に加工し、燃料として再利用する試みも始めています。実際にペレット燃料で焼き肉の実演もあり、ほとんど煙が出ず、臭いもないのが驚きでした!
ペレット生成はまだ実験段階ということで、今後、無駄のない資源の利用に活用していきたいとのこと。
杉塔婆についてのスタディ・ツアー。
塔婆を自分たちでこだわって選ぶことは少ないかもしれません。実際、私も我が家の塔婆が、どこの何の木で作られているのか考えたこともなかったのです。また国産杉の価格下落や、廃材の問題など知らないこともたくさんありました。
資源を最大限に活かし、再び育てていくことの大切さ。人と自然の、より良い関係について考える貴重な一日となりました!
(記者 D.I)
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杉塔婆 東京