寺ネット・サンガ「坊コン」レポート 法医学者が語る死生観 法医学者が語る死生観 坊コン 生 永寿院
寺ネット・サンガ「坊コン」レポート 法医学者が語る死生観
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2012-11-11 ウェブ新聞社 取材班
法医学者が語る死生観
今回の坊コンは、法医学者の反町吉秀先生(大妻女子大学大学院人間文化研究科)お招きし、大変貴重なお話を伺いました。
反町先生が実際に検屍、解剖された体験から9つのケースを抜粋し、それぞれの死因から読み取れる社会的背景についてのお話です。
実際に検屍、解剖された時のお話には強烈な印象を受けました。
外見はいたって健康そうなのに、体は仕事で過労状態。40代で突然電車の中で倒れ、そのまま息を引き取ったサラリーマンの方。
日本の経済成長率がマイナスに転じた1998年以降、自殺者の数が急激に増えたこと。
自然排気式風呂釜の不完全燃焼による一酸化炭素中毒によって夫婦が死亡したこと。
産後鬱によって、子どもを出産後、無理心中した母子のことなど。
実は死ななくても済んだのではないか。サポート体制がしっかりしていれば、ひとつの死が防げたのではないか。「世の中には、Mottainai 死が多すぎる」と反町先生は語ります。
何事もなく普段通りの生活をしていて、突然に断ち切られた生――。
反町先生は、死因究明が亡くなった人への供養だと考え、法医学者として15年ほど働き、現在は死を防ぐことに力を注ぐようになったといいます。
先生のお話終了後、「坊コン」参加者から次から次へと質問が出ました。
餓死は苦しむものなのかなど、「死」という現象についての質問。また、解剖して判明した死因が、例えば自然排気式風呂釜と分かった場合、予防策はどのように行政で行われるのかなど。
海外では、死因究明制度が不慮の死の予防に機能している地域もあるそうで、その点で日本はまだまだ課題が多いそうです。
自分で書きたい自分の死亡記事
坊コン後半は、「自分で書きたい自分の死亡記事」について話し合います。
このテーマは、自分がいつ、どのようにして亡くなるのかを考え、新聞記事のようにして発表しようというもの。5,6人のグループに分かれ、お坊さんたちが意見を取りまとめて発表します。
「自分はこう死にたい」という希望を語る人、自身の現在の健康状態から死因を語る人など様々。この日の「坊コン」参加者は26名いましたが、みなさん現在の「生」を生き生きと過ごしているからでしょうか。笑いを誘う死亡記事も多く発表されました。
実際の「死」は、生きている私たちにとって大きな恐怖です。いつか必ず訪れる、個々人の「死」の瞬間は、他人にも自分にもわからないもの。しかし「死」について考えることは、自ずと現在の「生」を照らすものではないでしょうか。
今回の「坊コン」で感じたことは、このような「死」という考えることに苦痛を伴う事柄も、仲間と一緒に話し合うと、全然違う一面が見えてくるということです。
じっと一人で、いつか自分に訪れる「死」について考えていたなら、「死」そのものの恐怖に考えが囚われてしまったかもしれません。自分が「どう死にたいか」から、「どう生きたいか」へ。そして日々の生活を豊かにしていくこと。
単純で当たり前のことのようですが、実際に声に出して話し合うことで、実感として感じ得たような気がしました。
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