厳粛な仏前での結婚式
「仏前結婚式」をご存じでしょうか?
仏さまの御前にて結婚の誓いを立て、ご先祖さまに報告をし、二人のご縁を仏さまに感謝するのが仏前結婚式です。
この仏前式の結婚式が大阪市天王寺区にあります興徳寺にて行われました。
ただ、今回の仏前結婚式は普通の仏前結婚式とはだいぶ違っていたのです。
同じ仏教でも、宗派によっては、式のやり方もまったく変わってくるのです。
今回、結婚式が行われた興徳寺は真言宗なので、基本的には真言宗のやり方で結婚式が行われます。
ただ、この結婚式のために、宗派を超えた6名のお坊さんが一同に会し、真言宗だけでなく、日蓮宗、曹洞宗、浄土宗、浄土真宗の宗派が、全員一緒に「結婚の儀」を執り行ったのです!
超宗派で祝う仏前結婚式
「寺ネット・サンガ」は、宗派を超えた僧侶ネットワークとして立ち上げられました。
僧侶が一般の方と同じ目線で話し合い、悩みに寄り添えるようにと2008年の活動が始まりました。
「寺ネット・サンガ」の趣旨に賛同した有志の方々と共に、坊コンなど現在まで様々な活動を行っていますが、その一つがサンガ・ウェディングです。
日本仏教はその黎明期から2000年近くたちますが、今ではいくつもの宗派に細かく分かれています。
しかし、元をたどれば、お釈迦さまにたどり着きます。
お釈迦さまの教えを慕う心は一つです。そんな想いからサンガウェディングは始まりました。
第1回目のサンガウェディングでは、寺ネット・サンガ事務局の方の結婚式を。
そして、2回目が今回の興徳寺ご住職の結婚式です。
それでは、サンガ式の超宗派・仏前結婚式の様子を順を追って説明いたしましょう。
まず、結婚式の始まる前に、ご両家の参列者は全員、両手に塗香を塗り、身心と口を浄めてから式に臨みます。皆様、塗香が初めての方もいらっしゃるようで、不思議そうにお香の香りを嗅追っていらっしゃいました。
新郎、新婦の両家が対面に座り、司会進行役には永寿院の吉田尚英住職が務められました。
サンガ式仏前結婚式 式次第
いよいよ新郎、新婦が各僧侶と共に仏前に入場です。
各宗派それぞれの色の法衣を纏った僧侶が次々と入っていらっしゃる様は圧巻。そのあとに、新郎新婦が続きます。新郎は真言宗僧侶ですので、紫の法衣を纏い、隣に寄り添う新婦は桜色の訪問着に華やかな金銀の帯という姿。白い牡丹の花を髪に飾り、清楚でありながら高貴な雰囲気です。
一、散華 華を散じて荘厳をします。
次、念珠授与 御仏の世界を表す念珠を新郎・新婦が双方の左腕に掛け合います。
次、焼香 お焼香をし、ご本尊、ご両家のご先祖様に益々のご隆盛を祈念します。
次、三帰、三竟、十善戒の誓い 新郎・新婦が一緒にこれらを読みます。
次、指輪の交換 結婚指輪の交換を行います。
次、誓いの言葉 誓いの言葉を二人一緒に棒読します。
次、金剛誓水の儀 三々九度の儀を行います。
次、親族固め ご両家の各参列者の方全員に祝酒を注ぎ、ご一緒に飲みほします。
次、御法楽 新郎・新婦の健康と長寿を祈り、参列者全員で唱和します。
最後に、新郎・新婦がご両家同士の紹介をしあいます。
こうして、粛々とサンガ式仏前結婚式が執り行われていきました。
参列された方々の中には、仏前での結婚式が初めてとの方もいらっしゃいましたが、お祝いのお焼香や仏さまに祈念する唱和など、感動をもって臨めたと感想をおっしゃっておられました。
仏前結婚式は、仏さまに二人が結婚することをご報告すると同時に、ご先祖さまにもご報告するという意味があります。興徳寺の先代ご住職は昨年遷化されましたが、お父様である先代も一緒に結婚式に参加していらっしゃるように感じ、お式を見ていて感動もひとしおでした。
今は亡くなってしまったご家族や、ご先祖に結婚をご報告したいというお二人の心からの想いや、その縁に感謝するという謙虚さに、改めて仏前結婚式の良さを実感しました。
あたたかな笑顔がいっぱいの、とても素敵な結婚式でした。
★サンガ式超宗派結婚式を行いたい方は、「寺ネット・サンガ」事務局までご依頼ください。
<寺ネット・サンガ>
http://teranetsamgha.com/
サンガ式仏前結婚式について
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