第14回 仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」 無縁墓地 蓮宝寺副住職のお話 お骨 仏教 永寿院
第14回 仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」 無縁墓地
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2013-11-11 ウェブ新聞社 取材班
蓮宝寺副住職のお話
2013年11月9日(土)、多磨霊園そばの蓮宝寺にて寺ネット・サンガ主催「仏教ひとまわりツアー」が行なわれました。前回に引き続き「お骨の行方」のテーマで、多磨霊園内の墓地をお参りしながら無縁墓・合祀墓について考えます。
まずは蓮宝寺の副住職小川有閑さんよりお話を伺いました。
多磨霊園は大正12年に開園した国内初の都市計画共葬墓地です。多磨霊園でお墓をお持ちの方の気持ちに寄り添いたいと、この地に昭和28年に蓮宝寺は建立されたそうです。
檀家としてのお付き合いのない方に霊園で供養を頼まれることが多く、短い会話の中で故人の話をしたり説法をする難しさを語ってくださいました。
小川有閑さんは現在、多摩武蔵野地域での生老病死のトータルサポートに関する活動「ライフエンディング研究会」を立ち上げエンディングノートを作るなどの活動をしています。
葬祭業・石材店・保健師・医師などの専門家と僧侶が一緒になって、生老病死のトータルサポートができるように、まずは相談の窓口になりたいという思いがあったそうです。
平均寿命が延びる一方で、介護の必要な高齢者が増えています。
また、お墓の需要も今後ますます増えていくことが予想されます。
ライフエンディングに関するサポート体制を徐々に充実させていきたいと、今後の活動について語ってくださいました。
多磨霊園の参拝
多磨霊園内を霊園管理事務所の所長さんと近隣の石材店の方にご案内いただきました。
都立霊園の中で最大の規模を持つ多磨霊園は、広さ128ヘクタール。現在は紅葉が見頃となっている多磨霊園ですが、春には桜が美しく咲くそうです。
広々とした公園のような感じで、各通路は並木道のように樹木が植えられていました。
所長さんや石材店の方から、清掃や管理の苦労話を伺いながら歩くと、お参り以外にも人の手が入らなければこの景観が維持されないことを気づかされます。
正門付近の合葬式墓地、みたま堂、著名人の墓所のある名誉霊域通りを進み、みんなで無縁墓の前で般若心経を読みお参りしました。
お坊さんたちと参加者の意見交換
蓮宝寺に戻り、多磨霊園をお参りした感想や意見をお坊さんたちと語り合いました。
平成5年完成の「みたま堂」の近代的なデザインが、参加者には印象的だったようです。
みたま堂の入り口ではお線香をあげてお参りすることができますが、中ではお経やお線香等をあげることができません。
宗教を切り離して納骨をしようとした結果が集約された「かたち」だと感じました。
経済最優先の日本という国が、「こころ」を置き去りにして生み出したバブルの産物であるといえるのではないでしょうか。
継承者が亡くなったり、維持することができなくなった墓地は返還されます。
かつて1区画で広大な面積を持っていた墓所が、現在10数区画に分割されていました。
まさに不動産のミニ開発のようでお墓の世界も経済中心なのだと目の当たりにし、栄枯盛衰を感じました。
著名人のお墓を参拝して、ポリシーやセンス、故人の宗教観を感じるお墓は、参拝する側も癒しを感じるという意見には、参加者の多くが頷いていました。
お墓を遺すという感覚は家を残すなど、男性的な感覚が大きいのかもしれないという意見もありました。
また著名人のお墓を拝見するうちに、そのお墓の建立された時代の背景が偲ばれるなど、個性の際立つ著名人のお墓に感慨を受けていた参加者も多かったようです。
○まとめ
今後、お墓のあり方はどう変化していくのか。印象的なみたま堂を拝見して、参加者からは様々な意見が出ました。
多様化していくお墓のあり方に、終の住処として何を求めるのか。「御魂」の存在をどう考えるのか。また、時が経って自身がご先祖さまと一体となった時どう祀られていくのだろうか。
お墓をお参りしながら、故人の遺した思いや伝えたかった事を想像すると、私たち自身のお墓やお骨の行方に求めるものが見えてくるかと思います。
今回の「仏教ひとまわりツアー」第4段「お骨の行方」を通して、お骨やお墓は、生きている私たちにとっても大切な存在であることを学びました。
次回の寺ネット・サンガは12月17日(火)「仏教ひとまわりツアー番外編」です。
12月のクリスマスに合わせて、教会でお坊さんたちと一緒に牧師さんのお話を伺います。
詳細はこちらからご覧ください→寺ネット・サンガ http://teranetsamgha.com/
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