仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐり 「仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐり」池上本門寺 仏教 本山 永寿院
仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐり
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2014-04-21 ウェブ新聞社 取材班
「仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐり」池上本門寺
2014年4月19日(土)、寺ネット・サンガ「仏教ひとまわりツアー」が開催されました。
各宗派の大本山をめぐりながら、「修行僧の毎日」に焦点をあてたツアーです。
第1回目は、大田区池上の日蓮宗大本山「池上本門寺」です。
○池上本門寺とは
今から約730年前の弘安5年(1282)9月、身延山で体調を崩された日蓮聖人が、病気療養のために常陸の国へ向かう道中、郷主であった池上宗仲公のお屋敷にお寄りになりました。
同年10月13日辰の刻、日蓮聖人は61歳で御入滅なさいました。
池上宗仲公は『法華経』の全文字数69384文字に合わせて、約七万坪の土地を寄進し、「池上本門寺」の礎が築かれます。以来「日蓮聖人ご入滅の霊場」として、730年の歴史を守り続けています。
大堂にて御開帳と御祈願を受けました。
大堂は祖師堂とも呼ばれ、日蓮聖人の御尊像が奉安されています。
日蓮聖人七回忌の際にお弟子さんたちによって建立され、日蓮聖人の生前のお姿に近いと伝わっています。
御尊像のお手に持っている払子(ほっす)は黒い色をしています。
日蓮聖人は大変お母様思いで、お母様の髪の毛を生前は常に身につけていたそうです。御入滅の直前、お母様の髪の毛と一緒に荼毘にふすようにと御遺言があったそうですが、あまりに忍びないということで、払子にして御尊像にお持たせたそうです。「孝道示現のご尊像」と呼ばれる由来でもあります。
御尊像の御衣は年に2回、春の千部会(せんぶえ)と秋のお会式(おえしき)の際にお召し替えします。
日蓮聖人御入滅の日に合わせて行なわれるお会式には、全国から約3万人もの人が参詣します。
修行僧の毎日
池上本門寺布教部の角田堯韻さんより、プロジェクターで写真を映しながら修行僧の生活について伺いました。お話がとても面白く、写真と一緒にわかりやすくご解説いただきました。
池上本門寺の修行僧「随身生(ずいしんせい)」は池上本門寺で修行をしながら、品川区大崎の立正大学に通っています。名札を付けた若いお坊さんたちの姿が映し出されました。
○一日の主なスケジュール
・午前4時半頃 起床
・午前5時半から7時頃 朝のおつとめ
・午前9時半から本門寺での勤務
・午後4時半頃 大学へ
随身生たちは掃除やお供物のお供え、お経練習などお坊さんらしい修行、そして書道、華道、茶道も学んでおり、日々のスケジュールは大変なのだそうです。覚えることも多く、メモ帳を常に携帯しています。
池上本門寺では御供茶式(おぐちゃしき)という行事があり、茶道も大切な修行のひとつなのだそうです。緊張しながらお茶を供す随身生の姿がスライドに映し出されていました。
池上本門寺で行なわれる行事、例えばキャンドルナイトではランタンをきれいに並べたり、ゴミの後片付けなど細かい雑務もこなします。
日常的には、電話応対など事務的な業務、掃除、洗濯などがあります。
先輩のお坊さんの横で、太鼓の叩き方を真剣に眺める随身生たちの姿がありました。現場で先輩のお坊さんに教わりながら、また観察しながら身につけていきます。
角田さんは随身生生活を振り返って、「四六時中、お坊さんでいられる期間」であり、若いときに仏教を体に染み込ませる時期を過ごしたことがありがたかったとお話してくれました。
趣味や遊ぶ時間もなくて大変そうですが、スライドに映った随身生たちの表情はキラキラしていました。
「修行僧の毎日」について質問タイム
随身生の生活について、たくさんの質問が次から次へと出ました。
Q.修行中はお休みはないのですか?
A.基本的にはありません。お休みのような日がごくわずかにありますが、日々のおつとめは怠りません。
Q.携帯電話・スマホは持っているのですか?
A.私生活をお坊さんにしていく期間ですので、持ちません。
Q.お坊さんは法話が上手だけれども、法話の授業もあるの?
A.法話の専門的な授業はありませんが、発表する場はあります。個性を大切に、それぞれお話しています。たまに口下手なお坊さんもいます。
Q.大学へは私服?
A.私服です。頭を見れば随身生とわかるかも。
Q.大学を卒業したらみんなお坊さんになるのですか?
A.山梨県身延山の信行道場にて35日間の修行を経て日蓮宗僧侶の資格を得ることができます。
卒業後は、各々修行に出たり実家に戻ってお坊さんになります。
荒行堂に入るお坊さんもいます。荒行は大変厳しい修行です。
なぜ荒行をするのかというと、極限状態の中、仏さまの世界に近いところに自分を持っていくという意味があります。お経を唱え続け、言葉を身にしみこませます。香りが身にしみこむと周囲に香るように、教えを身にしみこませるという意味で「薫習(くんじゅう)」とも呼ばれています。
Q.荒行をしないとお坊さんになれない?
A.お坊さんになるには荒行は必須ではありません。ただし荒行堂を出たお坊さんでないと御祈祷はできません。
Q.随身生たちは池上本門寺に住んでいるのですか?
A.はい。人数に変動はありますが、多い時には六畳に四人で生活することもあります。
○本殿にて唱題行
本殿にて唱題行にご一緒させて頂きました。角田さんより、合掌の姿勢や礼拝の作法、法界定印(ほっかいじょういん)の結び方などを教わりました。
大きな太鼓のリズムに合わせて、ひたすらお題目をお唱えします。空気を震わせるほど大きな音で太鼓を叩いたり、大きな声でお唱えすることは(大音声{だいおんじょう})、お釈迦さまが御説法なさった時に、地が震えたことに由来するそうです。
○法華経の教え
蓮の花の根っこは泥の中にあります。私たちの生きている世界が泥の中のようであっても、今日のように良い出会いもあり、ご縁もあります。その中で私たちは日々成長しています。
法華経の教えを自分の価値観として持ち、日々の生活の中に実践することができれば、仏さまと同じものの見方ができたことになります。よく人柄の良い人を「仏さまみたいな人だね」と表現するように、私たちは生きているこの世界で仏に成ることができます。
生きているうちに仏に成ることができるというのが『妙法蓮華経』の教えです、と角田さんはむすびました。
○まとめ
第1回目となる「各宗派本山めぐり修行僧の毎日」では、修行中のお坊さんたちの知られざる姿を垣間みることができました。
修行と聞くと、お経の勉強など静かなイメージがあったのですが、体力勝負の場面も多くて驚きました。
スライドに映し出された修行僧の頑張る姿に、元気をいただいた一日となりました。
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