寺ネット・サンガ「坊コン」「こんな供養は○○だ!」 供養コンシェルジェが語る「供養の悩み」 供養 寺

供養コンシェルジェが語る「供養の悩み」

2014年12月10日(水)、ネット・サンガ主催の「坊コン」が開催されました。今回は新しいテーマ「『こんな供養は〇〇だ!』クヨクヨしない供養」についてです。

供養コンシェルジェが語る「供養の悩み」
長年、供養の現場に携わってきた「供養コンシェルジェ」の佐藤清美さん。供養コンシェルジェとして、時にはお坊さんと協力しながら、相談する方が「これでいいんだ」と納得する方法を提案してきました。
供養に関して、「誰に聞けばよいのかわからない」と悩む人が増えているそうです。実際に一般の方々から寄せられた相談から、供養に関する悩みや問題点について語ってもらいました。

供養
・宗教・無宗教
・位牌・仏壇
・行事
・お墓
・死生観

嫁いだ先の宗教・宗派が違うなど、家庭事情による悩みが多いそうです。宗教や宗派が違う場合、お墓やお仏壇をどうしたら良いか困ってしまう方がいます。
お盆をどう過ごしたらわからず、「お盆はやらなくてはならないのか」といった相談も寄せられるそうです。
お骨の供養に関して、散骨や手元供養など、多様化している供養の方法にも悩むケースもあります。本人の希望であっても、家族や親族が納得しない場合もあり、亡くなってから双方の希望を一致させるのは大変です。
お位牌が二つになると「魂が割れてしまうのでは?」、あるいは「また一緒になれますか?」など、死生観に関する相談も寄せられるそうです。

グループディスカッション「こんな供養は○○だ!」

各宗派のお坊さんたちと一緒に、グループディスカッションを行ないました。
「こんな供養は○○だ!」の○○に入る言葉を考えながら、供養について意見を出し合いました。

○グループディスカッション「こんな供養は○○だ!」
供養は「心の問題」というのに疑問を感じます。お誕生日にプレゼントを渡したり、お誕生日会を開くように、心を形に示すことも大事。
・極楽浄土を一般の方はどこまで信じ、ヴィジョンとしてどこまで捉えられているのか。そこにお坊さんと一般の方の死生観の乖離があるように感じます。
・心、気持ちがあればいいじゃないかというのは疑問。心ほどいい加減なものはないから、形式だけでもしっかりしましょう、ということではないでしょうか。
・実際に葬儀になって、お坊さんはいらないと言っていた遺族が「やっぱりお坊さんを呼んでほしい」というケースを見ました。実際に体験してみると、「何かが足りない」と気づくこともあるのでは。
・死後をイメージできていない、できない。
・親に供養のことや、死後の話を切り出せない。実際亡くなってしまった時にどうすればいいのでしょうか。今も悩みが続いています。
・「死んでからどうする?」という話題について話し合える場が必要かもしれません。
供養すること、供養されることは、人によって重きの置き方が違う。

お坊さん率が多かったので、お坊さんの意見が多くなりました。「家族に供養のことや、死後のことを言い出せない」という意見には、頷く参加者の姿も見られました。

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各宗派のお坊さんから「供養」とは

一列に並んで座っているのは、各宗派のお坊さんたちです。お一人二分という短時間で、「供養」について語ってもらいました。

○そもそも「供養」って何だろう?
供養って何ですか」という質問が多いそうです。子どもが親に質問して、親が答えらないケースもあるそうです。そうなると、お坊さんに質問が回ってきます。
「そなえて、やしなうこと」ですが、もっとわかりやすい言葉で言うと「おもてなし」と同意義だそうです。

供養は心の問題?
・心があれば形はいらない、という考え方に疑問を持ってほしい。
・お仏壇に向かって手を合わせる時、亡き人を想いながら、合掌をお供えしていると考えます。宗派によっては、お経やお香と一緒に、亡き人の好きだった物をお供えします。
・人形供養などは、お坊さんが仏さまに気持ちを届ける役割をしています。
・「導師」という言葉があるように、お坊さんはわかりやすく喩えると、オーケストラの指揮者のような役割。みんなを同じ方向に導きます。
・何回も法事を希望する方もいます。「決まり事だから」と、複雑に難しく考えなくても良いです。
供養は、昔からずっと続けられてきたことで、大切な意味があり、良いことです。
・日本文化という視点から、日本人は過去において負債を負っているという考えがあります。ご先祖様の「おかげ」を感じ、返していくという、亡き人を想い続ける文化があります。
・子どもを愛する、親を愛する、「表現」としての供養もあります。

○お坊さんたちに質問タイム
一般の参加者から、「お坊さんにしかできない何かがあるから、おに行き、託すのではないか」という質問が出ました。さらにお坊さんにしかできないこと、お坊さんの持っている「力」とは何だろう、という話になりました。
あるお坊さんの体験談が出ました。
遺族が、亡き人が好きだったことを葬儀の時にしても良いか、と質問したそうです。お坊さんが「ぜひ!」と承諾したことで、家族に笑顔が広がり、みんなが喜んだということです。家族の心に、「供養になったのだ」と安心が生まれたことがわかります。

供養する側には「ちゃんと」供養できているのかという不安があります。
「ちゃんと」の基準に迷っている方も多く、お坊さんたちに「ちゃんと」供養してほしい、「ちゃんと」供養できているのか、という問いかけも出ました。

○まとめ
ネット・サンガの活動はこの秋に7周年目を迎え、ネット・サンガ新代表の吉田尚英さんからご挨拶がありました。各宗派のお坊さんたちとの語り合いはもちろん、「坊コン」では、お坊さんたちの日々の活動も知ることもできます。本日は、「坊コン」参加中のお坊さんたちが掲載された雑誌も紹介されました。

新テーマ「供養」について、今回は導入として問題点や疑問点を出し合いました。
供養」を「おもてなし」と言い換えることで、モヤモヤしていた「供養」という言葉が、スッと頭の中に入ってきました。通常の「おもてなし」は、生きている私たちの間で行なわれます。「供養」は、見えない向こう側にいる方が実際に喜んでいるかどうかわからないところに、不安があります。
今後、各宗派のお坊さんたちから、さらに詳細なお話を伺いたくなる内容でした。

本日は2014年度最後の「坊コン」でした。参加者とお坊さんたちは「坊コン」終了後、「坊念会」(=忘年会)で盛り上がったようです!

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