仏教ひとまわりツアー「まちのお寺の学校めぐり」高應寺 日蓮宗 長覚山高應寺にて お寺 仏教

日蓮宗 長覚山高應寺にて

2015年6月10日(水)、「仏教ひとまわりツアー」第6段第3回が開催されました。寺ネット・サンガ&まちのお寺の学校のコラボ企画です。「まちのお寺の学校」では「まちのみんなが自由に学び、集う場所」としてお寺を開放し、各種講座を開講しています。



今回「仏教ひとまわりツアー」で訪れた「まちのお寺の学校」は、埼玉県三郷市にある「高應寺」。400年程の歴史のある高應寺は学問寺として三郷の人々に慕われてきたお寺です。若いママさん住職の酒井菜法さんが笑顔で迎えてくださいました。4月に剃髪をされたばかりとのことで大きな瞳がキラキラと輝く可愛らしいお坊さんです。

【瞑想&ホタルの夕べ】と題した今回の仏教ひとまわりツアー。高應寺境内には小さな池があり、鯉も泳いでいます。風が木の葉を揺らす音と共に、水のせせらぎがサラサラと耳障りよく響き、ホッと心が癒されます。まずは、酒井菜法住職のご挨拶がありました。会社員のご主人と結婚して3人のお子さんを持つ酒井住職は、仏教学者でもあるお父様の前住職から後を引き継いだばかり。日蓮宗では女性の剃髪は義務ではないのですが、住職就任という節目を迎えるにあたって、剃髪をすることに決めていたのだそう。3人の子育てに奮闘するママとして、また、女性僧侶としての想いを語ってくださいました。





仏教ひとまわりツアー「まちのお寺の学校めぐり」高應寺 日蓮宗 長覚山高應寺にて お寺 仏教

お話と瞑想

酒井住職は僧侶になった5年前から「女性僧侶だからこそ出来る事」を模索しながら様々な活動をしてきました。子育ての大変さから思い立ち、ママたちが癒される場を作ろうと、お寺を開放して育児支援を始めたところ、NHKや新聞等が取材に訪れる様になりました。

酒井住職は地域や社会にお寺を開放することで、仏教の「生老病死」をテーマに、悩みや苦しみを持つ人々に寄り添う事が出来たらと思い始めます。市民からの依頼で介護者のサロンを開催し、緩和ケアに取り組む方々と共に癌患者の為の「癌カフェ」を開いたり。そのほか、写経、書道、寺ヨガをはじめ様々なイベント会場としてお寺の場を提供していらっしゃいます。また、自ら立ち上げた「三郷市民による宇宙の会」と教育委員会と共催でJAXAの講演会も開催するなど、その活動は多岐にわたります。普段は放課後の子ども達を受け入れる場としてもお寺を開放している高應寺。小学生が宿題をしに来たり、中学生が昼寝をしていたりと、学校でも家でも味わえない癒しの空間を提供しています。

○お話

仏教をならはん者の、父母・師匠・国恩をわするべしや。この大恩をほうぜんには必ず仏法をならひきわめ、智者とならで叶うべきか」(報恩抄)

この日蓮聖人の言葉のように、仏教を学ぶことで感謝を思い、目に見えないものを慈しむことで智者になるのです。この事は日本独特の美徳である「品格」という言葉にもつながると思います。目に見えないものを大切に思うことが”奥ゆかしさ”や”品”につながるのではないでしょうか、と酒井住職はお話くださいました。

○瞑想

「禅では型を大切にしながら作法の一つ一つを大事に行いますが、“型にとらわれない“のが今回の瞑想です。今の自分のありのままを感じてください」と、ご住職は折り紙を手にしてコップを折りはじめました。
「この小さなコップの中に心を入れるイメージで瞑想してください。背筋を伸ばし、楽な座り方で構いません。ただし、目は閉じずに薄く開けてください。深い呼吸をしながら、コップに自分の今の想いを入れるように・・・」

瞑想が始まると、庭に流れる水の音がより一層大きく聞こえてきます。風が心地よく感じます。「まず、自分の幸せを祈ってください。そして、出来たら苦手な人や嫌いな人のことも少し幸せになってと祈ってみましょう。辛くなったら無理に祈らなくもいいのです。今の自分に気が付くことが大切なのです」と酒井住職。そして、祈りを「自分」から「周りの人」「日本の国」「生きとし生けるものすべて」へと広げていくように導かれます。祈りながらの瞑想というのは初めての体験でしたが、祈ることの尊さを改めて実感する機会となりました。








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歩行禅とホタル観賞

○歩行禅

境内のお庭をゆっくりと歩いていきます。境内には色々な種類の木々があり、池の周りをぐるりと一周できるようになっています。深い呼吸をしながら一歩を10秒くらいかけて、牛歩の歩みように進んでいきます。薄暗くなった夕闇の中、自然の草木や風や水音を感じながら佇むことなどめったにないでしょう。時間に追われながらの生活を離れて、「いのちの時間」をたっぷりと味わいます。「お寺」という静寂を満喫できる場所は、現代では貴重だなあと実感したひとときでした。

○ホタル観賞

補助灯も消えた真っ暗な屋内から、表の庭を眺めますと、かすかな光が見えました。それはゆっくりと息をするように暗くなったり明るくなったりと命の光を放つホタル。
今回初めてホタルを見るという若者も参加していて、「たまたま柱にとまっていたホタルに遭遇できました。スマホですぐに写真を撮りましたよ!」と興奮気味に話してくれました。
たいてい6月上旬のこの時期からホタルが飛び始めるそうですが、今年は少し気温が低いこともあって、いつもよりも数が見られないそうです。それでも暗闇に目がなじんでくると、葉影の隙間にかすかな光を放つホタルを見ることが出来ました。住職が飼っているホタルも虫かごの中で光を放っていました。その光に誘われたように、庭のホタルがすーっと飛んでいきます。それを見つけて「あそこにいる!」と、思わず声を上げる方もいらっしゃいました。短い時間でしたがホタル観賞を存分に楽しむことができました。
その後、本堂内陣の間接照明だけを灯した中で、住職とお話をしたり、お釈迦様や三郷七福神の大黒様と鬼子母神様にお参りをしたりして、参加者それぞれゆっくりと過ごしました。


○まとめ

仏教ひとまわりツアー≪寺ネット・サンガ&まちのお寺の学校 コラボ企画≫は、今回が最終回となります。毎回とてもバラエティに富んだ内容が楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまいます。それぞれのお坊さんが、想いを胸に様々に活動していらっしゃるのだということもわかりました。さあ、次回はどんなツアーになるのでしょうか。今から楽しみです。

寺ネット・サンガHP→http://teranetsamgha.com/

まちのお寺の学校HP→http://www.machitera.net/

仏教ひとまわりツアー「まちのお寺の学校めぐり」高應寺

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仏教ひとまわりツアー「まちのお寺の学校めぐり」高應寺日蓮宗 長覚山高應寺にて