お坊さんと話しながら秋の鎌倉を山歩き
寺ネット・サンガの新企画「サンガの遠足」第２弾が2017年11月10日（金）鎌倉にて行われました。
今回の「サンガの遠足」は鎌倉の東側にある比企谷（ひきがやつ）から松葉谷（まつばがやつ）と呼ばれる付近を散策します。松葉谷周辺は日蓮聖人の足跡が多く残る場所で、日蓮宗のお寺が比較的多く集まっているところ。
まずは妙本寺を出発し、安国論寺へ、そして、日蓮聖人が立正安国論を幕府に献じたことから迫害にあった際、難を逃れる為に通ったといわれる名越の切通（なごえのきりとおし）、隠れていたといわれる場所など、今に伝わる日蓮聖人の足跡をたどり御猿畠法性寺（おさるばたけほっしょうじ）へと行くルートを歩いていきます。
１１月とはいえ鎌倉は比較的暖かな地域ですので木々の紅葉は少し色づく程度でしたが、お天気も良く気持ちの良い遠足日和となりました。寺ネットサンガの代表である吉田さんのご挨拶のあとイヤホンガイドが配られ、それぞれ耳にイヤホンを付けて出発です。
日蓮聖人の足跡 日蓮宗本山比企谷 妙本寺
妙本寺では僧侶の岡本亮泰さんに案内して頂きました。
比企谷（ひきがやつ）と言われるこの場所は鎌倉時代に比企一族が暮らした場所。
比企家は源頼朝公の乳母を務めた一族でしたが、３代将軍の継承をめぐり北条氏と対立したことで、当主の比企能員（ひきよしかず）だけでなく一族のほぼすべてが殺されてしまいました。京都にいた為に生き残った能員の末子である比企能本（ひきよしもと）が、佐渡から戻った日蓮聖人を迎えて、一族を弔うために建立したのが比企谷妙本寺です。日蓮宗では最古の寺院です。
まずは方丈門から石段を登って二天門へとむかいました。
祖師堂前では、岡本さんや吉田さんの先導でお題目をお唱えしました。さらに比企家の墓地の前では岡本亮泰さんが比企の乱について、また、妙本寺の歴史などについてお話してくださいました。
妙本寺には、日蓮宗に熱心に帰依されたことでも有名な、家康の側室である養珠院“お万の方”の供養塔もあり、ご案内頂きました。墓地の奥へと石段を登っていくと、日露戦争時に活躍した上村彦之丞海軍大将の墓地の前に、ひっそりとお万の方の供養塔がありました。その左隣にほぼ同じ供養塔が並んでいたのですが、そちらは日遠聖人の供養塔です。
本堂をお借りしての昼食をとり、しばしの休息後に安国論寺へと向かいます。
常栄寺と安国論寺
安国論寺へ向かう途中に常栄寺にも寄りお参りをしました。ここは通称“ぼたもち寺”と呼ぶそうです。ここからは同行してくださった法性寺の副住職、高作玄晃さんがガイドを務めてくださいました。
住宅街を少し歩いていくと安国論寺に。安国論寺は日蓮聖人が過ごした岩屋があったところに作られたお寺だそうで、その法窟で日蓮聖人はあの立正安国論を執筆したとのこと。ちょうど本堂の向いあたりにあったのだと高作さんが説明くださいました。
日蓮聖人の足跡 名越の切通～御猿畠法性寺へ
安国論寺から名越の切通へと向かいます。
なかなか越えるには難所だったことから名付けられたというだけあって、かなり急な坂道を登っていきます。鎌倉時代には三浦半島と鎌倉を結ぶ重要な陸路だったそうで、尾根を堀割って造られた道です。日蓮聖人も通ったという名越の切通は、本当に難所で、のっけから息が切れてしまうほど。
足場も狭く、さらに落ち葉が重なって滑りやすく、おぼつかない足元を一歩一歩ゆっくりと登っていきました。高台に着くと、鎌倉時代に石切り場として削られたという岩山の崖が、陽の光に白く輝いて見えました。
名越の切通は法性寺の裏山へと続いており、高台の平地は墓地になっていました。奥の院、祖師堂の隣には、かつて日蓮聖人が３匹の白猿に導かれ松葉谷の法難から身を隠したといわれる岩窟がありました。
祖師堂内でお題目を唱えさせて頂き、皆さんとしばらく散策＆休憩を取りました。想像以上に切通がきつかったという声もちらほら。名越の切通を歩く機会のある方はしっかりと滑らない靴で行くことをお勧めします。
法性寺では、開祖である日朗聖人を本堂にお参りし、お題目と合掌で締めくくられました。法性寺の裏山にあたる名越の切通の山頂付近は鎌倉市と逗子市の境。８００年ほど前にも、まさに三浦半島への近道として多くの人がこの急勾配の山道を辿ったのでしょう。遠い昔に想いを馳せながら逗子の街の先に光る海を眺めました。
寺ネットサンガの遠足第２弾は、鎌倉の松葉谷周辺の日蓮聖人と鎌倉の歴史を学びながらの大変有意義な遠足となりました。
寺ネットサンガの遠足２
鎌倉 日蓮
