寺ネット・サンガ10周年記念「坊コン」 寺ネット・サンガは10周年を迎えました! 寺ネットサンガ お坊さん

寺ネット・サンガは10周年を迎えました!

寺ネット・サンガの坊コンが2018年10月16日(火)に築地本願寺にて開催されました。
寺ネット・サンガは2008年の発足から早10年。今回の坊コンは「寺ネットサンガ10周年記念坊コン」と銘打ち、サンガ代表の吉田尚英さん(日蓮宗)、サンガ事務局の藤尾聡允さん(臨済宗)、松本智量さん(浄土真宗)の3名によるプレゼン法話と、お坊さんを交えたグループディスカッションという構成で行われました。


まずは吉田さんから、これまでの10年間の寺ネットサンガの活動報告をして頂きました。
10年前の2008年、発足当初は何をどうしてよいのか手探りの状態の中、活動プランコンテストなどを企画しながら試行錯誤してきた事務局でしたが、2010年からは“お坊さんと話せる日、お坊さんに話せる場”を作ろうと「坊コン」を主軸に据えることに。
さらに2011年からは「仏教ひとまわりツアー」をスタートして、お坊さんと一緒に色々な宗派のお寺に出かけたり、キリスト教の教会や神社、イスラム教のモスクをも訪問するという斬新なツアーを様々企画してきました。初期の頃は業者さんが多く来ていた寺ネットサンガでしたが、坊コンや仏教ひとまわりツアーを始めると、一般の方々が多く来てくださるようになりました。
仮想寺院として、宗派を超えて、さらには僧侶としての立場の垣根をも越えて、何かできるかを模索しながら歩んだ10年だったと、寺ネットサンガのこれまでを振り返ってお話しくださいました。

吉田さんのご挨拶のあと、皆さんと共に“三帰依文(さんきえもん)”をお唱えしました。


〇三帰依文とは

お釈迦様の在世の時、当時の人々はこの三帰依文を唱えて、お釈迦様の弟子として入門の儀式を行ったと伝えられています。以来、この三帰依文は広く世界中の仏教徒によって大切に唱え継がれています。
三というのは仏教における三宝である「仏」「法」「僧」のことをいいます
「仏」=お釈迦様「法」=お釈迦様の教え「僧」=仏の教えを学び伝える人々の集まりのことです。
「自ら仏に帰依し奉る」「自ら法に帰依し奉る」「自ら僧に帰依し奉る」という三帰依文は、み仏であるお釈迦様を敬い、その教えを大切に守り、その教えを学ぶ人々の集まりを大切にいたしますと唱えています。
「僧」とは日本では僧侶のことを指しますが、こちらの「僧」の意味は僧伽(そうぎゃ)で、インドの古い言葉(サンスクリット)では“サンガ”といいます。
(全日本仏教教会HPより)


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寺ネット・サンガのお坊さん3名によるプレゼン法話

 藤尾聡允さん(臨済宗建長寺派)は、ご自寺がある神奈川県を中心に、心の問題などに伴う活動を主にしていらっしゃいます。得意の英語を活かして、ご自坊で外国人向けに英語座禅会を開いたり、横須賀には米軍基地があるので米軍病院でメディテーション坐禅をご指導されたり、横須賀の自衛隊や防衛大学などにも毎年ご指導にいかれるとのこと。横須賀市だけでなく、企業など様々な分野から禅の指導を依頼され活動しておられます。

「禅というと、皆さんは坐禅ことと思われることが多いのですが、実は禅とは、心の様相を言います。穏やかな心、偏らない心、貪らない心、こだわらない心を作る為に坐禅を用いているのです。スポーツ選手向けに鍛錬としての禅の指導もしますし、ターミナルケアや難病の方々向けにも、禅を通じてお話しをしたりしてきました」と藤尾さんがこれまでの活動をお話しくださいました。


引きこもりに苦しんでいたり、精神的に辛い状況の方々にとって、少しでも安らぎとなるように禅を通じて活動していらっしゃる藤尾さん。いつお会いしても優しく穏やかに対応くだいます。以前サンガで行われた心のマッサージの椅子に座っての坐禅講座も大好評でした。


 松本智量さん(浄土真宗本願寺派)は、お坊さんとして35年過ごしてきた中で、この10年は激動の10年だったといいます。
藤尾さんや吉田さんも、共に共同代表をされている団体「自死・自殺に向合う僧侶の会」の活動に関して、2006年に法律化された「自殺対策基本法」が施行されてからの変化の様子をお話しくださいました。

法律が出来たころはまだまだ縦割りの状態だと松本さんが感じたのは、そのシンポジウムに初めて参加した時のこと。行政、学校、医療関係など5,60の団体が来ていたが、その団体が横繋がりにはなっていない状態でした。当時の自殺者は3万人を超え、社会問題化するほどに。自殺対策は必須となっていたのですが、松本さんが参加したシンポジウムに来ていた200名ほどの参加者の中に、自分しか宗教者がいないことに愕然としたといいます。
その頃から、お寺や僧侶が世間からどう見られているのかを考えるようになり、もっと世の中に対して自分たちに出来ることはないのかと、自問するようになったのだとお話しくださいました。

松本さんは、自分に出来ることから始めようと、八王子の駅の近くに阿弥陀ステーションと名付けた場所を作り、そこに、今でいう「こども食堂」の様な場所を作ります。その後、無料の学習塾なども開講し、子供たちの居場所を作ってこられたそうです。そんな活動を通して、様々な立場の人達と出会い、話をすることで、お寺を開放していくことの大切さを感じてきたといいます。
また、2011年に東日本大震災が起きたことも重要でした。あの地震で、僧侶に対する世間の目が変わり始めたといいます。行政が宗教者に目を向けるようになるきっかけになったそうです。

大地震があった頃は、サンガのお坊さん方も被災地に赴き、現地で起きていることや被災地の現状などを、サンガの坊コンで私達に話してくださいました。家が流されただけでなく家族までも失い、ぶつけようのない怒りや悲しみに、宗教者として傾聴し、心に寄り添うことが大切だと話してくださった、サンガのお坊さん方の真剣な眼差しを思い出しました。


吉田尚英さん(日蓮宗)は、寺ネット・サンガ代表の他、自死・自殺に向合う僧侶の会、法華塾の運営や池上市民大学の運営などの活動を行ってこられました。池上本門寺を中心に、多くの人に学びの場を提供することに進んで活動していらっしゃいます。大田区と共に活動することも多くある吉田さんは、地域とお寺との関係を風通しのよいものにしようと活動してこられました。
寺ネットサンガでも好評の“サンガの遠足”も、吉田さんならではの企画力と人間力で、毎回楽しませてくださっています。




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お坊さんとグループディスカッション

本日来てくださった前田宥全さん(曹洞宗)と、増田俊康さん(真言宗豊山派)と上記の3名のお坊さん5名がリーダーとなって、グループディスカッションを行いました。
今日は特にテーマを決めずに「お坊さんになんでも聞いてみよう」という感じで進めることに。

・修行のしないお坊さんがいるそうですが、なぜ違いがあるの?
お坊さんの大学を出るとどんな風に役立つの?
・一つの仏教からたくさんの宗派が分かれたことに驚いている。
・職業柄いろんなお坊さんと付き合いがあるけれど、いまだに威張っている人も多くいる現状。
・海外から仏教に興味を持つ人の為に受け皿をもっと作った方がいいのでは。
・檀家さんに対して能動的ではないお寺が多い。距離を縮めるためにはどうしたらいいか?
・座ること(坐禅)が大切なのはなぜ?
・お墓の引っ越しの対応がまちまちだと感じる。不適切な対応のお寺もいるけど・・・。
・まだまだお寺は敷居が高いと感じる。
などなど、率直なご意見や色々なご質問をいただき、ディスカッションも盛り上がりを見せていました。

その後、同じ会場にて”寺ネット・サンガ10周年”を祝う、ささやかな祝賀会が催されました。
今回初めて参加されたという方もいて、お坊さんとの気軽な会話を楽しんでおられました。


〇まとめ
この10年、これまで寺ネット・サンガに足を運んでくださっているお坊さんは何人もいらっしゃいます。その中には関西や北陸から新幹線で来られるお坊さんもいますし、また、神社の神主さんやキリスト教の牧師さん、東方正教会の神父さんまでもが、宗教を超えて寺ネットサンガの会に参加してくださいます。どの方もなかなか時間を作ることが大変な中、宗教や宗派を超えて、謙虚に学ぶ姿勢を持っていらっしゃる方ばかりです。
自分の属する宗派のこと以外はわからないというのは、私達一般人ばかりではありません。実は、お坊さんの中にも、他の宗派のことを知らないお坊さんも多くいますし、宗教を超えて話をする機会も持てないお坊さんの方が多いと思います。
寺ネットサンガは、宗教や宗派の垣根を越えて仏教について考える場を設けてきました。しかし、そんな場があっても、そこに参加しようと行動する人がいないと成り立ちません。想いだけではなく行動することが大切なのではないでしょうか。寺ネット・サンガに集う皆さんが、本来の「サンガ」の意味をシンプルに実践していることに、心より敬服します。

毎回、サンガの場を提供してくださっている事務局の方々の努力に感謝しつつ・・・(合掌)
10周年おめでとうございます!今後も益々楽しい「寺ネット・サンガ」を作っていってください!









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