オンライン・イベント「お寺で考える遠くの森と近くの山」
持続可能な開発目標「SDGs」の視点を生かし、100年後の未来に向けて、お寺そして私たち一人ひとりができることを考える『お寺と100年後の未来』というイベントがあります。「特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク」と「TERA Energy株式会社」の共催で企画運営されています。
その一環として、令和3年2月26日に「お寺で考える遠くの森と近くの山」というテーマでオンライン・イベントが開催され、永寿院住職も登壇しました。
「特定非営利活動法人FoE Japan」の森林保全と生物多様性担当 三柴淳一さんは、「森林危機? 世界と日本の現状」というテーマで問題提起。
永寿院住職吉田尚英は、「お寺と環境問題 近くの山の木の塔婆を使う」というテーマで多摩産の杉塔婆の普及活動の紹介。
東京都青梅市で、江戸時代から続く家業である林業を継ぐ中島大輔さんは、森林保全や自然環境教育など、多様な担い手の育成に取り組む現場の報告。
その後、3名でパネルディスカッションを行ないました。
川の流れのように
地球規模の気候変動と森林減少が進む中、日本で消費される木材の70%は遠い国の森から運ばれる輸入材です。
近くの山「青梅」では、何十年も手入れをして育てた木を伐り出しても、それに見合った収入を得ることが出来ずにいます。
林業の現場を「川上」とすれば、山の木の消費する私たちは「川下」にいます。
しかし、川上と川下を繋ぐ「川の流れ」にあたる、林業・製材業・加工業・建築業・運送業・小売業などの経済や流通の変化と、木が育つ数十年のサイクルがかみ合わず、川の流れが滞っている状況です。
また、林業周辺業種の従事者がその労働に見合った賃金を得ることが出来なければ、後継者が減るのは自明の理です。
山の木が加工されて町に届くモノの流れと、町から山へと戻っていくべきお金の流れがせき止められて、先人が築いてきた文化や技術が失われていくのはとても残念な事です。
少しでもその流れを良くしようと、杉塔婆の普及に20年ほど前から取り組んでいますが、川に小石を投じるほどの波紋も立てられずにいるようなジレンマを感じています。
お寺と100年後の未来
杉塔婆 林業