初めての釣りの思い出 初めての釣りで オコゼ 釣り

初めての釣りで

○海といえば・・・
私にとって、「海といえば釣り釣りといえば海」くらいに、二つの記憶が強く結びついています。
なぜかと言いますと、釣りで恐ろしい体験をしたからで、今でも海を眺めることは好きですが、やはり海の中に入ることには抵抗があります。

海には、かわいらしい魚やきれいな魚たち、小さいものから大きいものまで、たくさんの魚たちが住んでいます。水族館では、魚たちがのんびり泳いでいる姿に癒されます。
ところが海には危険な魚もいます。よくクラゲなどに刺されたという経験をする人は多いと思いますが、私が初めての釣りで釣った魚は、ずいぶん強力な毒を持った魚だったのです。

初めての釣りの思い出 初めての釣りで オコゼ 釣り

魚に刺される

私は三浦海岸で育ちました。近くの三崎には漁港もあり、三崎のマグロは全国でも有名です。
中学生の頃、私の友人の父親が漁師さんをしておりましたので、漁船に乗せてもらい、私は初めての釣りを体験しました。

○漁船に乗って釣り体験
漁船はかなりスピードが出て、海の上をポンポン走っていく感じの爽快感は、今でも思い出すことができます。陸地がうっすらと水平線上に見えるくらいのところで漁船を止め、釣りを始めました。
私は釣竿のリールをジーッと巻く動作に憧れていましたので、興奮ぎみで竿をつかみました。その時エサを自分でつけたものか、漁師のおじさんにつけてもらったのか覚えていません。

やがて魚がかかり、私は夢中でリールを巻きました。「ついに魚が釣れた!」と思って、勢いよく釣竿を引きすぎたのでしょうか。魚がボーンと飛び上がりました。空中で魚は弧を描くような感じで、遠くへ行ったと思ったら戻ってきて、私の顎に直撃しました。

横でおじさんが手袋をした手で魚をキャッチして、私に言います。
「今、顔に当たったな? どこに当たった?」
地元の漁師さんたちはみんな早口です。急き立てるように言われて、私はただ顎を指差しました。

すると漁師のおじさんは大笑いして、「こりゃあ、腫れるぞ!」と言いました。その時は何でもなかったので、私も一緒に笑っていました。
その後、何事もなかったかのように、友人と一緒にそのまま釣りを続けましたが、結局何も釣れなかったと思います。

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オコゼの毒

オコゼの毒
私の顎に当たった魚はオコゼだったようです。似ているカサゴ類だったかもしれませんが、今ではどちらだったのかはわかりません。三浦半島ではミノカサゴやハオコゼ(葉オコゼ)が釣れるそうです。釣った魚は、赤い小さな魚で、ヒレが長く、ちょうど曼珠沙華の花のような外見でした。
オコゼやカサゴの背ビレには毒があり、これに刺されると大変です。(種類によって毒の強弱があります・写真はミノカサゴです)

次の日から顎がジンジンと熱くなったり痛くなったりします。そしてやっかいなことに、非常にカユいのです。触るだけで痛いので、カユさをごまかすために私は顎を叩き続けました。
2、3日は何をするにも顎のことが頭から離れず、とにかく自分の顎を叩き続け、目に当たらなくて本当に良かったと思いました。クラゲの毒のチクチクと痛みながらカユい、その強力な感じが顎に集結していました。

まったく大変な魚がいたものです! それも、いつも泳いでいる海に存在していると知ってからは、容易に海に入ることができなくなりました。
そして毒の魚について図鑑を眺めているうちに、毒を持った魚たちの姿がとても美しいことに気がつきました。色が派手な魚は、きっと周囲に「自分は危険だよ」と教えているのでしょうか。しかしそんな毒の魚たちの親切心も、私のような珍し物好きには逆に作用して、思わず触りたくなってしまいます。

○冒険心を持ち続けたい
日常生活の中で、身の危険を感じる機会はほとんどないのですが、こうして魚に刺されたりしますと、毒を持つ生物や獰猛な動物の棲む森の中で、昔の人はよく暮らしていたなあと思います。
私も幼い頃は知らないだけに、山に入って、道のないところはどうなっているのだろうと入り込んだり、よく自然の中で無謀な試みをしたものです。大人になって思い返しますと、そんな無謀さと冒険心がだんだん少なくなっていることに気づき、さびしいような気もするのです。

初めての釣りの思い出

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