仏さまの智慧と流行語
某予備校の人気講師がコマーシャルで放ち、2013年の流行語大賞に選ばれたひと言に「今でしょ」というのがあります。
はや2016年も11月、今さらながら、何でこの言葉がいまだに流行っているのか考えてみたいと思います。
ヒントはお経の言葉です。流行語が流行を超えてずっと使われる様子は、2500年の時を超えて私たちが生きる方針となっていることに通じるものがありそうです。
法華経の如来神力品第二十一に
まさに知るべし、この処はすなわちこれ道場なり(当知是処 即是道場)
とあります。
簡単に言うと、「今、ここが、あなたが仏道を歩む場ですよ」。
という意味です。
つまりどこにいようと、この瞬間が仏さまの教えを実践する、本気で生きる場所なんだということです。
もっと簡単に言うと、
「いつやるか、今でしょ」。
こう考えると、この言葉は仏さまの教えにかなっていますね。
秋の反省
この「今でしょ」に限らず、流行語というのは仏さまやご先祖が今を生きる私たちに思い出してほしいものを時々 “流行語”として、今の世に送り出したものではないかとさえ思えてきます。
そう言えば、1970年代には「ナウい」って言葉が流行っていました。
さらにさかのぼって、先人のことわざにも「思い立ったが吉日」とか、「鉄は熱いうちに打て」、「間髪を容れず」などなど。
よりよい未来のためにも今を大事にという姿勢は、延々と受け継がれているということでしょうか。
年末の風物詩となりつつある流行語大賞ですが、昨今選ばれる言葉にどうもなじめないものが多いという意見があるのは、こういうことに根ざしていないからではないかと、私は勝手に思っているのですが。
そう考えれば、流行語を作るのは難しいことではないのかも知れません。
今さらこの言葉を取り上げた理由は、私の人生訓に「流行は/わざと遅れて/取り入れる」というのがあり、ちょっとずるいんですが、すぐに飛びつくよりある程度社会の中でこなれてからのほうが、何が良くて悪いのかが理解しやすいと思っているんです。
そして言葉同様ファッションなどでも顕著ですが、流行はしばしば繰り返されるようです。
そんなふうにいいものは残っていくんだなあという視点で見ると、流行に左右されずにすむから、まあ、いいか。
でも、私の川柳、流行語にはなりそうにありませんね。経済効果を逆走しています。
なんて、人ごとのように言っていないで、この秋の反省として自分に言い聞かせよう。
何ごとも「今でしょ」。
流行語と仏さまの智慧について
今でしょ 流行語