『声明』について
今回の池上市民大学は、永寿院で講義が行なわれました。
一限目は池上本門寺法務部、鈴木照雄先生が『声明』についてお話してくださいました。
『声明』のルーツは、インドで開かれた『五明学』の一つで、僧侶になる為に必要な学問の一つとされていました。
『声明(しょうみょう)』は梵唄といい、キリスト教でも讃美歌があるように、仏教でも仏さまを讃える為にお経に節をつけた『仏賛歌』と言えるかもしれません。
日蓮宗の『声明』は昭和に入るまでは『池上流』や『身延流』など各本山で違いがありましたが、皆がお唱えできるように日蓮宗初代声明導師の石井日章上人が流派を統一されたと教えていただきました。
また、『声明』は各宗派、各国ごとに特徴があり、中国では楽器を用いて歌う特徴がありました。
仏さまを讃える仏賛歌の『声明』。
みなさんも機会があれば是非聞いてみてはいかがでしょうか?
木挽町狩野家の法華信仰
2限目は本門寺学芸員の安藤先生のお話です。
今回の霊宝殿では、狩野派展を開催しており、その狩野家にまつわる『木挽町狩野家の法華信仰』についてお話いただきました。
木挽町狩野家は、江戸時代初期に狩野尚信が起こしたもので、他の狩野家よりも法華経信仰が非常に強いとお話してくださいました。
ではなぜそこまで法華信仰が強かったのかと言うと、木挽町狩野家を後に継ぐ、狩野典信の生涯にルーツがあります。
典信が2歳の時、父・古信(ひさのぶ)を亡くし、更に浜町狩野家から養子入りした養父・玄信(はるのぶ)も相次いで亡くしてしまいます。
何とか典信が一人前になるまで、木挽町狩野家を途絶えさせてはならないと、母・妙性尼が育てます。
その時、典信が一人前になれるように、母・妙性尼がこの池上本門寺に何度も祈願をしたそうです。
一人前になった典信は、今ある自分は本門寺のおかげと大変感謝したことから、本門寺にとても縁のある狩野絵師となったそうです。
その為、日蓮聖人と母への報恩の為に『日蓮聖人縁起絵巻』を本門寺へ奉納しました。
この作品は全八巻の絵巻物となっており、法華経八巻をなぞって、日蓮聖人の生涯を描いた作品です。
自分が一人前になるようにと祈願してくれた母への想いと、日蓮聖人への感謝の気持ちがあふれた作品となっていると教えて頂きました。
本日の霊宝殿
引き続き安藤先生のガイドで霊宝殿へ場所を移し、狩野派展の作品を拝観しました。
作品を拝観し終え、最後に安藤先生が、先程お話してくださった『日蓮聖人縁起絵巻』のレプリカを見せて頂きました!
間近で見る『日蓮聖人縁起絵巻』は、繊細なタッチで丁寧に描かれており、思わず息をのむ作品で、狩野派絵師の作品を堪能した一日でした!
第10期第6回 池上市民大学体験記
池上 市民大学