7期 第4回 池上市民大学体験記 写経作法を学ぶ 写経 ガイド

写経作法を学ぶ

2013年、新年を迎えてから初めての池上市民大学が開講しました。
三友先生から、写経の作法を学びます。

写経は文字を上手に書くことより、一文字ごとにお釈迦さまの文字を写す、という気持ちが大切だそうです。今回の写経では、『妙法蓮華経』「如来神力品(にょらいじんりきほん)第二十一」の一部抜粋した部分を写します。中でも「秘要之蔵」の四文字は非常に重要な意味を持つ言葉であり、客殿・寺務所の一階ロビーには星上人筆の書が掲げられています。

写経の作法

写経のための用紙・墨・筆などが並び、塗香(ずこう)と呼ばれる粉末状のお香を手にすり込みます。
仏さまを良い香りでお迎えする準備をしてから、目をつぶり、ゆっくりと息を吐く黙照(もくしょう)をします。本門三帰依文(ほんもんさんきえもん)を唱え礼拝。懺悔文、お題目を三唱し、心を落ち着けてから写経に移ります。

写経の際、文字に直接自分の息がかからないよう、懐紙を口にくわえ、一行書き終えるごとに礼拝します。
約30分ほどで全員が写経を終えることができました。書き終えて回向文を唱え、お題目三唱、礼拝をします。

後日、池上市民大学生たちの写経は池上本門寺に奉納されます。


7期 第4回 池上市民大学体験記 写経作法を学ぶ 写経 ガイド

公式ガイドのお話

池上本門寺公式ガイドである市川仁さん、山崎マサ子さんからお話を伺います。
自作の大きな池上本門寺境内の地図、自作歴史資料などが登場。かなり手の込んだ自作資料に驚きの声もあがっていました。

印象深かったのは、池上本門寺の山門から、いつも苦労する此経難持坂(しきょうなんじざか)と呼ばれる石段の説明です。加藤清正公が寄進した此経難持坂は、『妙法蓮華経』「見宝塔品(けんほうとうほん)第十一」にあります「此経難持」の中の96文字にちなんで96段あります。

実はこの石段、上のほうへ行くにつれて段の幅が小さくなっているそうです。つまり、上の方へ行くと楽になるように計算されて作られているのです。こんなことも、ガイドを聞きながら上ってみると、つらいと感じる石段も思い出深いものになると思います。

○公式ガイドになってみて

ガイドをするにあたって、やはり「自分にできるだろうか」「ちゃんと人前で話すことができるのだろうか」など様々な不安があり、ガイドになることをためらってしまう人が多いそうです。
「できない、と言ってしまえばそれまで」と市川仁さんは指摘します。
自分にはできない、と最初からチャレンジする心を持たないことは、可能性をも断ち切ってしまうことになります。現在ガイドをしているお二人も、最初は不安だったそうです。
しかしチャレンジしてみることで、いろんなことへの可能性がひらけてきて、市川さんも現在では人前で話すことが楽しいと感じるようになったそうです。

7期 第4回 池上市民大学体験記 写経作法を学ぶ 写経 ガイド

小野先生のお話~松濤の間

○環境カウンセラー小野先生のお話

通常は霊宝殿拝観の時間ですが、今回は事情で予定が変更になりました。
急遽、環境カウンセラーの小野先生より、ボランティアガイドのありかたについてお話しを伺います。

池上本門寺のボランティアガイドをするに当たって、何よりも「池上本門寺が好き!」という気持ちが、ガイドに挑戦する一番大切なことです。
「地元に住んでいる人だからこそできる、もてなしの心」「昨日今日あった事など現在を語ることができる」など、一般の観光ガイドにはできないこともあります。
池上本門寺ボランティアガイドならではの「カラー」を出していくことが大切だとおっしゃいました。

○松濤(しょうとう)の間で

松濤の間は、池上本門寺の松濤園が見下ろせることからこのような名で呼ばれています。
松濤の間に安置されている加藤清正公のご尊像と、日蓮聖人の「波木井御影」と呼ばれる肖像画の写しを拝見しました。この絵は、近くに寄らなければわからないほど小さな文字で『法華経』の69384文字が色を変えて書き込まれています。

池上市民大学生の一人が、なんと松濤園を背景に詩を吟じてくださいました!
洗足池には、特にこの池上の地を愛した勝海舟の別邸「洗足軒」があります。勝海舟といえば、西郷隆盛と共に江戸城を無血開城したという事件がよく知られています。
徳富蘇峰が、その平和のうちに解決したことに感銘を受けて書いた詩が洗足池の碑に刻まれており、今回はその詩を披露していただきました。

『堂々たる錦旗(きんぱい)関東を圧す
百万の死生(しせい) 談笑の中(うち)
群小(ぐんしょう)は知らず 天下の計(はかりごと)
千秋(しゅんじゅう)相対す 両英雄』

力強い節回しとよく響く声に、大きな拍手が送られました。

○おわりに

池上市民大学では、学んだことを様々な形で実践している仲間たちがいます。
どうやって実践していくか、自分に合った方法を見つけていくことが大切だと感じました。
詩吟という形で実践していくなんて、とてもステキなことだと思います。特に私は、今まで一度も生の詩吟を聴いたことがなかったので、大変感激いたしました。

7期 第4回 池上市民大学体験記

写経 ガイド

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