大堂にて御開帳
2014年4月19日(土)、第8期池上市民大学が開講されました。
今回の講義は寺ネット・サンガ主催「仏教ひとまわりツアー各宗派本山めぐり」との合同企画です。
大堂にて御開帳のおつとめに参列。初めて参拝した方もありましたので、池上本門寺の縁起などの法話の後、おつとめをしました。
本日の講義の内容は「修行僧の毎日」です。
池上本門寺で修行しているお坊さんについて、お話を伺います。
修行僧の毎日
角田堯韻先生から、「修行僧の毎日」ついてお話を伺いました。
池上本門寺で修行している若いお坊さんは、「随身生」(ずいしんせい)と呼ばれます。本門寺の寮で生活しながら修行し、大崎の立正大学で勉強をしています。
起床は4時半頃。掃除や準備をして朝5時半から7時頃まで朝のおつとめをし、朝食を頂きます。
9時半から池上本門寺での勤務が始まります。
何をするのかというと、お坊さんとしての修行の他、電話応対など事務的なこと、行事の準備や後片付けまで、お寺を裏で支える大事な役割を担っています。
随身生たちはいつも学んだことをメモできるように手帳を持ち歩いています。
4時半頃、お寺での修行を終えるとご飯を食べて、大学へ向かいます。
池上本門寺の行事は大がかりなものが多いので、黒い作務衣を着て、若いお坊さんたちが走り回っている姿をよく見かけます。彼らが随身生なのです。
キャンドルナイトで、ランタンをきれいに並べるのも随身生の仕事です。
お会式や千部会で日蓮聖人の御更衣を頭上高く掲げながら参列しているのも随身生です。
御衣はかなり重量があり、高く掲げながら此経難持坂を上るには体力がいるそうです。
日常の中では、先輩のお坊さんの所作を横で見て学び、お経の練習、茶道、華道、書道も勉強しています。
大堂には大根や人参がきれいに整列したお野菜のお供物がありますが、このお飾りも随身生の仕事です。音の振動で多少揺れますので、崩れないように野菜同士が絶妙なバランスで支え合うように工夫して括りつけてあるそうです。
太鼓のタイミングや叩き方は、先輩お坊さんの所作を観察して身につけます。スライドに映し出された随身生の表情は真剣そのものです。音がずれたり、間違えることはできません。
また、土用の丑の日に行う「焙烙加持(ほうろくかじ)」では、焙烙皿の上に「もぐさ」のお灸を焚いて、頭の上に載せて頭痛封じのご祈祷を受けます。
市民大学生の中には、数名、体験者がいらっしゃいました。
このお灸にお線香で火をつけ、うちわではたくのも随身生の役目です。火を扱うので、慎重な作業です。
角田先生は随身生時代を振り返り、「四六時中、お坊さんでいられる期間」とおっしゃっていました。
随身生は修行中とはいえ、大事な場面を担っていることや、体力が必要な仕事も多いことにも驚きました。
本日は、角田先生のお話を拝聴して、いつも走り回っている若いお坊さんたちが「随身生」だと知って微笑ましい気持ちになりました。
4月の千部会が近づいております。随身生たちの頑張る姿にも注目してみたいと思います。
本殿にて唱題行
本殿にて唱題行をいたしました。
心が落ち着いたところで、角田先生から「なぜお経をお唱えするのか」というお話を伺いました。
○お題目をお唱えすること
仏さまの声を、現実的に私たちの耳に聞こえるようには再現できません。
仏さまが私たちの口を使ってお経を唱えている時、仏さまから御教えを唱え返されているとも言えます。
お題目は声に出してお唱えすると同時に、心で唱えることも大切です。
それは、法華経の教えを自分の価値観として持つことなのだと角田先生はおっしゃいます。
美しい花を咲かせる蓮の根は、泥の中にあります。私たちの生きる世界が泥のような世界であっても、私たちには良い出会い、良いご縁があって、日々成長しています。
身でお題目をお唱えすることは、自分たちの生活の中に教えを活かし、実践していくことです。
法華経の教えを自分の価値観として持つことができた人は、仏さまと同じものの見方ができるようになったことと同じことで、仏に成った=成仏したといえます。
「成仏」には亡くなった人という意味もありますが、よく人柄の良い人を「仏さまみたいな人」と表現するように「仏に成ること」を意味します。
生きているうちに仏に成ることができるというのが『妙法蓮華経』の教えであり、日々の実践を積み重ねて成仏を目指すことが大切です、と角田先生のお話がありました。
○今月の霊宝殿
今月の霊宝殿は、先月に引き続き「本門寺の狩野派展」を拝観いたしました。
霊宝殿特別展「本門寺の狩野派展」の会期は3月29日~5月6日まで。土日祝日のみ開館・拝観料300円です。
詳細はホームページにてご確認ください。
霊宝殿についてはこちらから→http://honmonji.jp/05topic/06info/reihoden/reihoden.html
第8期 第7回 池上市民大学体験記
池上 市民大学