第8期 第8回 池上市民大学体験記 環境のお話 池上 市民大学

環境のお話

2014年5月24日(土)、池上市民大学第8回講座が開講しました。
1時限目は環境カウンセラー小野紀之先生の「環境のお話」です。今回は身近な生き物たちの、意外な生態について伺いました。

○外来種についてのお話
外来種の生き物が日本の在来種を駆逐しているのではないか、という問題からお話が始まりました。外来種の中でも、日本の気候や風土に合った生物だけが爆発的に増えるので、外来種すべての繁殖力が強いというわけではないそうです。

・ミシシッピアカミミガメ
日本では通称「ミドリガメ」と呼ばれるカメです。耳のあたりが赤くなっていることから、「赤耳」という名前がついています。増えてすぎてしまった「ミシシッピアカガメ」は、かつてお菓子の景品でした。
大人たちがカメの排出物から出るサルモネラ菌を恐れて、カメを近所に放したところ繁殖したそうです。河川だけではなく、池があるお寺や神社にもカメを放したために、お寺の池などによく見られます。

・アメリカザリガニ
真っ赤な体で大きなハサミ。印象的な姿は、子どもたちにも人気があります。
ところが田んぼの稲を切ってしまったり、アゼに穴を開けたり、農家さんにとっては困った存在です。補食力がとても強いので、他の生態系への影響も心配されています。
アメリカザリガニが日本へ持ち込まれたのは、昭和2年のこと。鎌倉の食用蛙養殖場に、ウシガエルのエサとして輸入されたそうです。養殖地から逃げ出したアメリカザリガニが繁殖してしまったといいます。

外来種だから悪い生き物というイメージを持ってしまいますが、人間の都合によって持ち込まれ、放たれた生き物たちなのです。なぜ持ち込まれたのか、どうして無責任に放たれてしまったのか。
小野先生は代表的な2つの生き物を例に、わかりやすく説明してくださいました。

○身近な生き物たちの観察
身近な生き物のお話では、アブラコウモリ(通称イエコウモリ)を例に、「コウモリはなぜ逆さになるのか?」など興味深いお話がありました。一見、どこかにつかまっているようですが、ただ足をひっかけてぶらさがっているのだそうです。飛ぶために体を軽量にするため、体の筋肉を最小限にとどめる知恵です。
普段からよく見かけるアブラゼミの羽は、不透明です。不透明な羽を持つセミは、世界的にみても大変珍しいそうです。
小野先生はコオロギを家で飼っています。静かな夜に「シャリシャリ」とエサを食べる音が聞こえ、「人間と同じだなあ」とコオロギに親近感を感じるというお話もありました。


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戸澤宗充師の高座説教

今回の池上市民大学では、特別講義で高座説教を聴聞させて頂きました。高座説教とは、日蓮宗の伝統的な説教形式のひとつです。
戸澤宗充師は、悩める女性の駆け込み寺「サンガ天城」の庵主の尼僧さんです。
聴聞していた私たちの顔が緊張していたのでしょうか。ご自身も緊張していた、と笑って場を和ませてくださいました。
お説教の内容は『生きる』です。
戸澤宗充師のご自身の人生経験、また駆け込み寺「サンガ天城」を設立したきっかけ、東日本大震災の被災地での経験など幅広いお話がありました。

生きているのは植物や動物も同じですが、人間は「生きてゆく存在」です。「私はこう生きたい」ということを持って、人は生きています。「生を肯定できないから、愚痴がでる」というお話がありました。
法華経の中に「所以者何(しょいしゃが)」=「どうしてなんだろう」と問いが繰り返されているのは、このためであると戸澤宗充師はおっしゃいます。何のためにあるのかわからないから、愚痴が出るのだそうです。どうしてこうなのか、よく考えなさい、とお釈迦さまがおっしゃっているのです。
納得できると、「だったらこうしよう」と素直に生きてゆくことができます。

また、童謡「シャボン玉とんだ」のお話もございました。作詞家の野口雨情氏がわずか2歳の娘さんを亡くされた時に書かれたそうです。飛ばずに消える命もあり、「かぜ かぜ 吹くな」と歌っても、この世に生きている限り無情の風が吹き続けます。最後の「シャボン玉とばそ」には、「強く生きていこうよ」という願いが込められています。
よろこびも悲しみも、すべてをしっかりと見、しっかりと聞く。それこそが仏さまのメッセージであり、無明の闇をとりのぞくことにつながります。

お説教の最後に、戸澤師オリジナルの琵琶の弾き語りを交えた「祖伝」(日蓮聖人の伝記)御入滅の弁を拝聴いたしました。
日蓮聖人と日朗聖人の最期の別れの場面を一人で演じる戸澤師の臨場感あふれる弁に、感極まり思わず涙ぐむ聴衆もいらっしゃいました。

私たちは、この世を生きていくうえで、さまざまな出会いを繰り返しています。
「自分を変えていくような、そんな出会いをしたいものです」「一瞬、一瞬を精一杯生きていきましょう」と戸澤宗充師からメッセージがありました。

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今月の霊宝殿

今月の霊宝殿は、学芸員の本間岳人さんにご案内頂きました。
復歴第十六世日樹聖人の御遺宝が中心です。また「撮られた戦前の本門寺」として、戦前の池上本門寺の写真が展示されています。池上本門寺は昭和20年4月15日の空襲により、大部分を焼失しました。

霊宝殿についてはこちらから→http://honmonji.jp/05topic/06info/reihoden/reihoden.html

本日は、市民大学の移動中に日蓮宗新聞社キャラクター「こぞうくん」に出会いました。
突然の「こぞうくん」の登場に驚きつつ、市民大学生たちは記念撮影をしたり、握手をしたり、和んでいました。「こぞうくん」は24日からの「京浜教区 檀信徒研修道場 一泊修行」に参加していたそうです。
スケジュールはこぞうくんのオフィシャルサイトから確認できます。



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