第8期 第10回 池上市民大学体験記 仏教のお話 池上 市民大学

仏教のお話

2014年7月19日(土)、池上市民大学第10回講座が開講しました。境内には20日までのイベント「500個の風鈴の音を聴く」の風鈴が、涼やかな音色を奏でていました。
1時限目は野坂法章先生の「仏教のお話」です。

○反省だけなら猿でもできる?
反省することで、人は成長し、正しい方向に向かうことができます。
インドでは雨期(お盆の時期)は、お坊さんたちが一カ所に集まって、お互いに勉強したり議論をする時期だそうです。雨期があがると、お坊さんたちはそれぞれの場所に散り、布教活動を始めます。
散らばる最後の日に、お坊さんたちが集まってお互いに懺悔し合い、反省することを「自恣(じし)」と言います。

最近のニュースでは、事件が起っても誰がやったのかわからない(悪事を隠す人)が増えているようです。自分に不都合な事から、つい目を逸らしたくなりますが、そのままにしては何の解決にもなりません。
反省をしない、悪い事をして隠そうとすることを、「無慚(むざん)」と言います。

『妙法蓮華経 譬喩品(ひゆほん)第三』の「火宅(かたく)の喩え」には、私たちの住む世界は背後に炎が迫っている家のようだとあり、誰でも大小の罪を犯しやすい世であることを表しています。
講義の中で紹介された日蓮聖人のご遺文『光日房御書』には「小罪なれども、懺悔せざれば悪道をまぬがれず。大逆なれども、懺悔すれば罪きえぬ」とあり、英語のことわざには「Heaven's vengeance is slow but sure」とあるそうです。「天罰はすぐには来ないが、必ず来るものだ」という意味で、自身の悪事をなかったことには出来ないというのは世界共通の認識のようです。

○無慚の人にならないために
今回の仏教のお話のお題「反省だけなら猿でもできる?」には、「人間にも出来ているのか?」という野坂先生の想いがあったそうです。
日常生活の中で、どうしても避けられない小さな「負の心」が沸くこともあります。誰も見ていないからと思っても、他ならぬ自分自身、さらに仏さまが見ていると知れば、どんなに小さな罪に対しても「ちょっと待った」と心の中の歯止めになりますね。
本日の講義では、反省の心「自恣」を大切に日々過ごしていきたいと感じました。

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環境のお話

2時限目は環境カウンセラー小野紀之先生の「夏だから、東京の水について考えてみよう」です。
夏場は水を多く使用しますが、東京の水はどこからやってくるのでしょう?

○東京との水道水源林
東京都(当時の東京府)は、明治34年4月に多摩川上流約8,140haと日原川上流約320ha の森林を入手し、経営管理してきました。約110年以上の歴史があり、昔の人々が将来を見据えて森を守ってきた恩恵を、現代の私たちが受けています。

水道水源林には天然林と人工林があります。人工林にはさらに「天然林誘導型森林」「複層林更新型森林」の2タイプがあります。本日は副次的に木材を収穫できるように工夫された「人工林複層林更新型」の代表例として、「水源林ふれあいのみち」「柳沢峠ゾーン」の様子をスライド写真で拝見しました。
歩道が整備され、ハイキングコースになっているそうです。
陽がよく入り、緑の溢れる爽やかな空間で、ブナ、ミズナラなどの広葉樹が生い茂っています。大変涼しい場所だそうです。「水」の大切さを感じながら、この季節はぜひ訪れたい場所です。

○森は水をきれいにする
水と森には密接な関係があり、落ち葉は土になる過程で、水を蓄えるスポンジのような役割をしています。水源林には「水を蓄える」「土が流れるのを防ぐ」「水をきれいにする」という役割があるそうです。
奥多摩湖にある「小河内(おごうち)ダム」は、ちょうど静岡の佐久間ダムと同時期の昭和30年代に完成しました。
現在、土砂の堆砂率は佐久間ダムが40%で小河内ダムは3.2%だそうです。小河内ダムの堆砂率が低く抑えられている理由は、周辺の森林を東京都が水源林として管理してきたことが要因と言われています。

○これからも大切にしたい池上の自然
池上本門寺のそばには「縄文のみち」と呼ばれる「本門寺公園」があります。池上の地は、遠い昔から人々が自然と一緒に暮らしてきた場所です。人が暮らしやすい環境は、豊かな森が育んできました。森を大切にする先人たちの想いは、今の私たちに引き継がれています。
小野先生から「人と自然の調和のとれた町として、これからも見守っていきたいですね」とお話がありました。


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今月の霊宝殿

今月の霊宝殿は、学芸員の安藤昌就さんの案内で拝観しました。
「妙法尼御前御返事」(弘安元年)、「兄弟抄」(弘安四年)二行断簡などの御真蹟を拝見しながら、当時のお手紙の習慣についてお話を伺いました。

現在では追伸は最後に書く習慣がありますが、当時はお手紙の書き始めに空間をあけ、追伸を書くためのスペースにしたそうです。
時代劇でお手紙は巻物になっているイメージがありますが、紙を重ねて送るのが一般的だったそうです。そのため、お手紙の右上の部分には丁付け(ちょうづけ)と呼ばれるページ数が記されています。
また、年代ごとに日蓮聖人の筆跡の変化や特徴など、興味深いお話もありました。

25日(金)の御霊宝御風入れの準備のため、展示は20日までとなっています。詳細はホームページからご覧ください。

霊宝殿についてはこちらから→http://honmonji.jp/05topic/06info/reihoden/reihoden.html

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