仏教のお話 『兄弟抄』を読む
2014年8月23日(土)、池上市民大学第11回講座が開講しました。
一時限目はクラス担任の吉田尚英先生の「『兄弟抄』を読む」です。
(『兄弟抄』の概要については、第5回池上市民大学の講座で学びました。詳細はこちらからご覧ください→http://www.eijuin.jp/News/view/8/416)
『兄弟抄』の第四〜五紙の原文をプリントしたものが配られました。
本日は、文字の特徴を吉田先生の説明で確認しながら、現代語訳と照らし合わせて読み進めました。くずし字は容易に読み解けませんが、ふりがなが振ってあるので読める部分もあります。
日蓮聖人独特のくずし方でお書きになっている文字もあります。例えば、「声聞(しょうもん)」「菩薩(ぼさつ)」といった文字は、くずし方が特徴的なので説明がないと読めません。「法華経」など、お手紙の中で繰り返し用いられる言葉は、ぜひ形を覚えておきたいポイントです。
霊宝殿で拝観した際に「見たことがある文字だ」と気が付くことで、いっそう日蓮聖人の御真蹟に親しみを感じられそうです。
内容については、「三五塵点劫(じんてんごう)の法門」「三周説法(さんしゅうせっぽう)」「大通智勝仏(だいつうちしょうぶつ)」など、難しいお話でした。このような難しいお手紙を池上宗仲・宗長兄弟が理解していたことを思うと、深い教養と知識を身につけていたことなども感じられ、感慨深いものがあります。
「第8期池上市民大学の講義で一番印象に残ったこと」
九月から全12回で構成される第8期池上市民大学。まもなく修了式が近づいています。
そこで、一年間の講義内容を思い出しながら、市民大学生たちが一番印象に残った講義について、一人一分程度で発表しました。
・『兄弟抄』が好きなので、今日の講義が興味深かった。
・寺ネット・サンガと共同開催となった「仏教ひとまわりツアー」の「修行僧の毎日」が面白かった。
・吉田先生の「なるほど日蓮宗」がわかりやすくて良かった。
・「写経」は人生初の体験で思い出深かった。
・遠足がなかったのが心残り。
・「お盆・施餓鬼会(せがきえ)」の過ごし方の講義を受けて、何となく過ごしていた行事に意義を感じながら過ごすことができた。
・環境カウンセラー小野先生の「東京の水」についての講義が興味深かった。
・学芸員の安藤さんの「五重塔」の話が面白かった。
・池上市民大学で聞いた話を友人に話したら喜ばれた。
池上市民大学で、幅広い視野を持って仏教や環境、歴史などについて学ぶことができます。講義の思い出や、生活の中で活かせた話、また自分なりに講義の内容を持ち帰って調べた話などが出ました。
次回の修了式では、今日の発表をもとにレポートを書き、最終発表をします。
今月の霊宝殿
今月の霊宝殿は学芸員の安藤昌就さんのご案内です。
日蓮聖人御真筆『兵衛志殿御書(ひょうえのさかんどのごしょ)』(建治3年)や、『兄弟抄断簡』(文永12年)を拝観しました。
『兄弟抄断簡』の一番左に、「ひやうへの(兵衛)志殿へまいらセ候」とあります。池上兄弟の弟さんの宗長公に宛てたお手紙であることが記されている部分です。
安藤さんから説明があって、初めて気が付きました。一時限目に読み方を教わったので実践したいところでしたが、とても難しかったです。
その他、狩野古信(ひさのぶ)の「琴棋書画屏風(きんきしょがずびょうぶ)一双」など、絵画も拝見しました。池上本門寺には江戸時代の絵師狩野探幽のお墓があることでも知られます。
狩野古信は徳川吉宗に大切にされていた絵師です。きらびやかな屏風ですが、人物の細かな描写からは繊細な印象を受けます。
現存する狩野古信の絵は少ないそうで、貴重な拝観となりました。
霊宝殿についてはこちらから→http://honmonji.jp/05topic/06info/reihoden/reihoden.html
次回は第8期池上市民大学生の修了式です。
発表もありますが、一年の思い出を仲間と語り合う日として、気張らずに参加したいと思います!
第8期 第11回 池上市民大学体験記
池上 市民大学