五重塔改修のお話
第9期第7回の池上市民大学は、安藤先生の五重塔の改修のお話です。
本門寺の五重塔が建立されたのは、約400年前。
やはり木造の建物ですから、老朽化で建物が傷んできてしまいます。
文化財としての改修工事には、2種類あり、痛んできたら行う「維持修理」と、維持修理では補えず、建物自体を解体し、修理を行う「根本修理」があります。
本門寺の五重塔は、維持修理は数回行われたようですが、根本修理は、400年の間、実に2回だけとの事です。
1回目の根本修理は、五重塔が建立された約100年後、現在の位置に移築された時に行われ、2回目は、平成9年に行われました。
400年も建っているのに2回だけ?と思いがちですが、実際にその根本修理を行なっている際のビデオを視聴した所、その大変さがわかりました。
では、どのように解体されるかと言うと、五重塔の周りに足場を建て、上から順に解体していきます。
その後、出来るだけ当時の木部品を使い、痛んだ箇所を修理し、また同じように組み上げるという、根本修理とは実に大変な仕事だと言う事がわかりました。
受け継がれた工法や伝統を守ってきた職人さんたちのおかげで、今もなお、当時と同じように私たちが見る事ができるのです。
環境のお話
今回の環境のお話は、土壌の中にどのような生物がいて、どのような働きをしているのか?を小野先生がお話してくれました。
土壌は小さな命の生きる場所で、土壌は4つの層から成り立っています。
○4つの層とは?
・1つめの層→落ち葉などで覆われている部分であり、動物のフンや生き物の死骸等で構成される層
・2つ目の層→1つめの層を小さな生き物が食べて分解された、腐葉土で構成される層
・3つ目の層→腐葉土を生き物が分解し、植物が育ちやすくなる、栄養が沢山ある土の層
・4つ目の層→植物が栄養を分解、吸収し尽くした、固くなってカチカチの層
この4つの層で土壌は成り立ち、1つめの層と2つ目の層に、目に見えるものからよく目を凝らさないと見えないほどの小さな生き物が沢山います。
土壌の中にいる生物が、どれほどいるかで、その土壌の豊かさがわかるとの事です。
また、この土壌の中にいる生物を皆さんはどれほどよく観察したことがあるでしょうか?
普段、あまりよく見たくないなぁと、思う生き物でも、それぞれ身体的特徴を持っており、中でもムカデとヤスデの違いは勉強になりました。
どちらも「なんか節と足が沢山ある虫!」ですが、ムカデは一つの節から足は1対ずつえていて、ヤスデは一つの節から足が2対ずつ生えています。
「やっぱり足が沢山あって見分けがつかない!」と思いますが、その身体的特徴から、ムカデはジグザグに動き、ヤスデは直線に動く事ができます。
また、ムカデには毒があるので注意!
基本的に毒がある生物は身体の色が赤や黄色等の警戒色なので、もし観察しようとする際は、そのあたりも注意して観察してみてはいかがでしょうか?
五重の塔拝観と、遺跡発掘現場の見学
今回は、最初にお話頂いた、安藤先生の引率で五重塔の拝観をする事になりました。
改修のビデオを見た後、五重塔を見ると、普段では全く気にもしていなかった所にも目が行きます。「なるほど、ここがこんなふうに改修されたのか。」と、ちょっとだけ五重塔上級者になった気がしてきました。
昔から伝わる工法と、現代の工法できれいになった五重塔。
これからも本門寺の五重の塔がきれいな形で後世に受け継がれて欲しいと思いました。
また、最後は永寿院の遺跡発掘現場を見学しました。
今回、発掘している現場は、元々物置があった場所だそうです。
当時、何を食べていて、どのような事がここで起きたかなど、土を掘るだけでわかってしまうのが興味深く、大変面白いと思いました。
「なんでお寺に遺跡?」と思う方は、こちらのページをご覧くださいませ。
http://www.eijuin.jp/history.html
第9期 第7回 池上市民大学体験記
池上 市民大学